当社は事務機器を販売する商社です。この度新規顧客開拓のため得意先に当社の主力商品であるコピー機を設置することとなりました。この商品について棚卸資産に計上することが必要でしょうか。
また、新規に取引を開始した仕入先より得意先配布用としてサンプル品が送付されてきました。これについても棚卸資産として計上する必要がありますか。


デモ商品については、その商品がデモ商品として継続的に使用される場合を除いて、棚卸資産として計上する必要があります。
また、仕入先から受けたサンプル品についてもその配布先が指示されていない以上、棚卸資産として計上する必要があります。

解説

棚卸資産とは、販売のために保有する財貨、用役、販売を目的として現に製造中の財貨、用役および財貨、用役生産のため、および販売一般管理活動において短期的に消費されるものをいいます。
したがって、デモ商品についてはこれが棚卸資産に該当するかどうかは、その商品が販売のために、または費消するために保有されているかどうかによります。

(1)デモ商品の性格

デモ先において、一定の期間経過後引き取られることを前提として預けられているものであれば、棚卸資産としての性格を有していることとなります。
一方、専らデモ商品としてショールーム代わりに引合いのあった得意先に対して設置され、契約時に新機種が納入されるといった形態をとるならば、当該デモ商品は棚卸資産ではなく広告宣伝用の減価償却資産としての性格を持つこととなります。
減価償却資産となりますと、取得価額10万円未満(平成18年4月1日から平成24年3月31日までについては、資本金1億円以下の中小企業者は30万円未満(ただし、取得総額で300万円が限度であり、それを超える部分については損金不算入とされています。))のものは少額減価償却資産として資産に計上する必要がなくなりますが、当該デモ商品が10万円未満(30万円未満)かどうかの判断は個々の商品ではなく、デモ商品一式で判断することとなります。

(2)サンプル品の性格

サンプル品につきましては、貴社がその商品を受けた段階ではどこの得意先に対してどのように配布するというような指示はないわけですから、単に配布の委託を受けた預かり品と考える訳にはいきません。貴社に処分の方法を委ねられた商品の無償支給があったものと考えざるを得ません。
したがって資産の無償受贈益は益金算入されることとなりますので、受贈のときにおけるその商品の取得に通常要する価額、つまり時価によって評価して棚卸資産として計上することとなり、その商品を得意先に払出したとき、または貴社で費消したときに費用として処理することとなります。
また、サンプル品の受入れ方法として、商品の仕入れにあたって何%かの数量添付を受ける場合があります。この場合は、商品の無償支給云々というよりも実質的に仕入単価の値引きがあったと考えるべきでしょう。つまり、例えば@120円50個の代金で60個の商品が搬入されたのであるならば、その商品1単位の購入代価は@100円ということになるでしょう。

ワンポイント
デモ商品は棚卸資産か売上原価か
会社で出荷基準を売上の計上基準として採用している場合、デモ商品が顧客先に出荷された時点で売上計上すべきではないかという疑問が当然でることとなります。
デモ商品は顧客の買取りの意思がないものを搬入し、使用してみてもらうものですから、本来の売上計上時期ではないと考えるべきでしょう。しかし、何ら証拠書類がなければ、出荷はしたが請求書の発行が遅れ、代金回収が遅延したものと疑われかねません。
デモ機の貸出しであり、売上げに計上すべきものではないというには、契約書を結んでおきたいところですが、現実には困難な面もあるでしょう。少なくともデモ商品としての受払台帳、先方の預り証程度は揃えておく必要があるでしょう。
また、デモ期間が不明確であったり、通常の売上処理がいい加減であれば、出荷基準で売上計上すべきとされてもいたしかたないこととなるでしょう。

参考法令等

法令133(少額の減価償却資産の取得価額の損金算入)
措法67の5(1)(中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例)
措通61の4(1)-4(売上割戻し等と同一の基準により物品を交付し又は旅行、観劇等に招待する費用)

閉じる