私は会社を経営していますが,法人には平成24年から復興特別法人税が課され,さらに平成25年からは復興特別所得税も課されると聞きました。
 法人は2種類の復興特別税を納付しなければならないのでしょうか。
 また,個人にも復興特別所得税が課されると聞きましたが,これらの復興特別税の内容を教えてください。

 復興特別法人税と復興特別所得税は,東日本大震災の復興施策に必要な財源を確保するために,時限的な付加税として創設されました。
 法人は,平成24年4月1日から平成27年3月31日までの間に開始する事業年度について,基準法人税額に10%を乗じた復興特別法人税を法人税に上乗せして納付します。
 また,平成25年から平成49年までの間は,復興特別所得税が課せられるので,その間に法人が受け取る預金利息や配当については,復興特別所得税が源泉徴収されることになります。ただし,この復興特別所得税は法人が納付すべき復興特別法人税から控除されます。
 個人は,平成25年から平成49年までの各年分の所得税に,基準所得税額に2.1%を乗じた復興特別所得税を上乗せして納付します。

解説

1 復興特別法人税
 法人は基準法人税額につき,復興特別法人税を納める義務があります。
 基準法人税額とは次の算式で計算した金額となります。

法人税申告書別表一(一)2欄
△法人税申告書別表一(一)3欄
+法人税申告書別表一(一)5欄
基準法人税額

(1) 課税事業年度
 復興特別法人税の課税対象となる事業年度は,平成24年4月1日から平成27年3月31日までの期間内に最初に開始する事業年度開始の日から同日以後3年を経過する日までの期間内の日の属する事業年度とされています。
 新設法人や事業年度を変更した法人の場合には別途定めが設けられています。
(2) 課税標準法人税額
 各事業年度の基準法人税額が復興特別法人税の課税標準となります。
 課税標準に1,000円未満の端数があるとき,またはその全額が1,000円未満であるときは,その端数金額またはその全額が切捨てとなります。
(3) 復興特別法人税の額
 復興特別法人税の額は次の算式により計算した金額となります。
復興特別法人税の額=課税標準法人税額×10%
(4) 復興特別所得税額の控除
 各課税事業年度において課される復興特別所得税の額のうち一定の金額は,当該課税事業年度の復興特別法人税から控除されます。
 この復興特別所得税の額を法人税の額から控除することはできません。
 なお,復興特別所得税は所得税と併せて源泉徴収されますので,復興特別所得税の額は源泉徴収税額に102.1分の2.1を乗じて計算した金額となります。
(5) 復興特別所得税額の還付
 控除されるべき復興特別所得税の額で,復興特別法人税額の計算上控除しきれなかったものがあるときは,その控除しきれなかった復興特別所得税額の還付を受けることができます。
(6) 申告および納付
 法人は,各課税事業年度終了の日の翌日から2月以内(延長の届出がある場合には3月以内)に税務署長に対し復興特別法人税申告書を提出し,納付すべき税額がある場合にはその税額を納付しなければなりません。ただし,課税標準法人税額がない場合には復興特別法人税申告書を提出する必要はありません。

2 個人に係る復興特別所得税
 所得税を納める義務のある個人は,復興特別所得税も併せて納める義務があります。 (1) 課税対象年度
 個人については,平成25年1月1日から平成49年12月31日までが課税対象年度となります。
(2) 課税標準
 各年分の基準所得税額が復興特別所得税の課税標準となります。
 基準所得税額は,次に掲げる納税義務者の区分に応じそれぞれ次に定める所得税の額とします。
  ① 非永住者以外の居住者…すべての所得に対する所得税の額
  ② 非永住者…国内源泉所得および国外源泉所得のうち国内払のものまたは国内に送金されたものに対
         する所得税の額
  ③ 非居住者…国内源泉所得に対する所得税の額
(3) 復興特別所得税の額
 復興特別所得税の額は次の算式により計算した金額となります。
 復興特別所得税額=基準所得税額×2.1%
(4) 申告及び納付
 平成25年から平成49年までの各年分の確定申告については,所得税と復興特別所得税を併せて申告し,納付すべき所得税及び復興特別所得税がある場合にはその合計額を納付しなければなりません。
 給与所得者の方は,平成25年1月1日以降に支払を受ける給与等から復興特別所得税が併せて源泉徴収され,年末調整も所得税と復興特別所得税の合計額で行われます。

3 復興特別所得税の源泉徴収
 所得税の源泉徴収義務者は,給与その他の源泉徴収をすべき所得を支払う際,その所得について所得税および復興特別所得税を徴収し,その法定納期限までに納付することになります。
(1) 給与等に係る所得税及び復興特別所得税の源泉徴収
 毎月の給与等から源泉徴収すべき税額は,復興特別所得税を織り込んだ【源泉徴収税額表】に当てはめて,所得税および復興特別所得税の合計額を徴収し,1枚の納付書で納付します。
(2) 講演料や報酬等に係る所得税及び復興特別所得税の源泉徴収
 講演料や報酬を支払う場合には次の算式により計算した金額を源泉徴収し,1枚の納付書で納付します。
源泉徴収すべき所得税額及び復興特別所得税額=支払金額×合計税率(※)
(※)合計税率=所得税率×102.1%

■参考法令等
復興財源確保法9(課税の対象)
復興財源確保法13(個人に係る復興特別所得税の税率)
復興財源確保法17(課税標準及び税額の申告)
復興財源確保法18(申告による納付等)
復興財源確保法28⑥(源泉徴収義務等)
復興財源確保法30(年末調整)
復興財源確保法42(納税義務者)
復興財源確保法45①(課税事業年度)
復興財源確保法47①,②(課税標準)
復興財源確保法48(税率)
復興財源確保法49①(復興特別所得税額の控除)
復興財源確保法53(課税標準及び税額の申告)
復興財源確保法55(復興特別法人税の期限内申告による納付)
復興財源確保法56(復興特別所得税額の還付)
通則法118①(国税の課税標準の端数計算等)
復興特別法人税に関する政令5①,④(復興特別法人税額から控除する復興特別所得税額の計算)
法令140の2(法人税額から控除する所得税額の計算)

■ワンポイント
復興特別所得税に係る源泉徴収
 復興特別所得税は,平成25年1月1日~平成49年12月31日までの25年間に生ずる所得について源泉所得税を徴収する際,復興特別所得税を併せて源泉徴収をしなければなりません。
 復興特別所得税は,給与支払い時だけでなく配当や報酬の支払い時にも復興特別所得税を併せて徴収することになりますので,平成25年1月1日以降支払う源泉徴収税額の計算には注意が必要です。
 会社で支払日が定められている給与については,その支給日がその給与の収入すべき時期となりますので,平成24年12月分の給与の支払日が平成25年1月となっているような場合には,この給与は平成25年分の給与所得となり,復興特別所得税が課されることとなります。
 源泉徴収税額は下記の方法により計算をし,通常の所得税と合算して徴収および納付を行います。

源泉徴収すべき所得税および復興特別所得税=支払金額×合計税率(※)

 算出した所得税および復興特別所得税の額に1円未満の端数があるときは,その端数を切り捨てます。
※1 合計税率(%)=所得税率(%)×102.1%
※2 所得税率に応じた合計税率の例

解説

 平成25年以降の給与源泉に関しては,毎月の源泉徴収は平成25年分以降の源泉徴収税額表にあてはめて徴収を行います。
 税理士等への報酬や講演料などの源泉徴収を要する報酬に関しては,上記算式により計算した源泉徴収税額を控除した後の金額を支払うことになります。

【例1】 100,000円の講演料を支払う場合
100,000円×10.21%(10%×102.1%)=10,210円(源泉徴収税額)
となりますので,本人へは89,790円を支払うことになります。
【例2】 手取り100,000円として講演料を支払う場合
100,000円÷89.79%(100%-10.21%)=111,370円(1円未満切捨て)
が講演料の総額となり,11,370円が源泉徴収税額となります。

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