ISBN |
978-4-474-03429-7 |
発刊年月日 |
2007-04-10
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判型 |
A5判 |
ページ数 |
336 |
巻数/略称 |
/電 来し方行く末 |
商品コード |
034298
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前公正取引委員会事務総長が平成18年6月の退任を機に、自身の36年間のキャリアを通して見た独禁法を中心とした日本の競争政策の変遷を綴る。現代にはびこる談合事件、その解決へのヒントの一端がここに記されている。 著者の経験を集約させ、未来への望みを託した書き下ろし。 公務員・経営者必読。
はじめに
第1章 変化を予感させた1970年代の幕開け(1970年4月~1972年6月)
1 1970年を迎えた日本
一人の公取マンの誕生
職業としての独禁法
マルクス経済学の影響?
新日本製鉄誕生の余韻
独禁法に対する経団連の見解
2 1970年当時の世界の競争法
競争法の世界地図
西ドイツを意識していた日本
海外競争法制の調査
論文執筆
3 OECD制限的商慣行専門家委員会の活動
制限的商慣行専門家委員会
対処方針の策定作業
4 国際的技術導入契約の審査
国際契約届出制度
政府規制無謬の時代
天野・ノボ事件の波紋
間接的域外適用論
国際カルテル事件の調査
5 独禁法は「イチジクの葉」なのか?
ガルブレイス教授の反トラスト批判
行為主義か構造主義か
第2章 ハーバード学派時代の反トラスト政策を学ぶ(1972年7月~1974年7月)
1 初めての海外経験
留学に至る経緯
留学先の選定
留学の意義
ワシントンでの2カ月間
2 フィラデルフィアでの2年間
1972年当時の状況
変動相場制への移行
反トラスト法を学ぶ
ロー・スクール学生の勉強振り
インセンティブ社会アメリカ
3 ハーバード学派の反トラスト政策との遭遇
ハーバード学派の反トラスト政策
構造規制の考え方
4 反トラスト法域外適用問題の研究
域外適用問題の研究
LL.Mの取得
5 海運同盟の研究
留学2年目の選択
海運同盟の研究
有賀さんの日本競争法ゼミ
6 日本企業の競争力の源泉を探る
シュワルツ教授のゼミ
競争と競争力
当時の米国の状況
コロンビア大学比較法コースへの参加
反トラスト法をライフワークとする決意
第3章 強化改正に向けて(1974年7月~1978年7月)
1 狂乱物価時代の後遺症を抱えた日本への帰国
取引課で日本の流通問題に取り組む
インフレ時代の独禁法
カルテルの弊害に対する認識
過当競争論について
2 暗黒大陸である流通問題への取組み
流通問題と独禁法
競争力ある製造業と低生産の流通業の共存
海外調査
3 指定再販商品の見直し作業
告示取消訴訟への対応
再販制度の弊害規制
4 マルチ商法問題
問題の所在
事件の摘発
5 内閣審議室への出向と独禁法改正作業への参画
国会関係業務
第3次独禁法改正案の作成
独占的状態に関するガイドラインの作成
6 執筆・講演活動
幅広い執筆活動
英語での講演活動の始まり
Doing Business in Japan
第4章 大蔵省への出向(1978年7月~1980年7月)
1 役人と出向人事
世間知らずの公正取引委員会職員?
公正取引委員会への出向職員
2 大蔵省への出向
マクロ経済的思考との遭遇
通貨の世界を垣間見る
通貨の安定と競争環境
SDR(特別引出権)を学ぶ
EMSの出現
大蔵省を内から見て
3 この時期の公正取引委員会の主な動き
自由業に対する独禁法適用の拡大
優越的地位の濫用事件
ガイドライン行政の始まり
第4章 在米国日本大使館への出向(1980年7月~1984年4月)
1 JFTCアタッシェの誕生
初代在米国日本大使館一等書記官
赴任時の状況
ワシントン入り
2 JFTCアタッシェの仕事
バクスター反トラスト局長の登場
日米自動車問題
対米輸出自主規制と反トラスト法
トヨタ・GM合弁事業
3 レーガン革命による反トラスト政策の変貌
シカゴ学派の反トラスト政策との遭遇
カルテル規制の強化
ATT事件・IBM事件
4 米国経済の構造改革の進行
合併規制の変貌
M&Aブームと反トラスト政策
合併ガイドラインの制定
5 規制改革と市場への信頼
規制改革の進展
日本側での曲解
6 異質の資本主義国日本を考える
米国から見た日本市場
日本への批判の高まり
7 アラスカズワイ蟹購入カルテル事件
アタッシェらしい初仕事
行政指導と反トラスト法
8 執筆活動
米国から日本に送ったメッセージ
英文独禁法の執筆
9 米国での講演活動
講演依頼
弁護士社会の米国
第6章 日米構造問題協議に至る公正取引委員会苦悩の時代(1984年6月~1990年7月)
1 帰国後の日本の状況バブル経済への道と違和感
好調が続く日本経済
スーパー301条の制定
2 沈滞する独禁法執行と予防行政重視の時代
停滞する独禁法の執行
競争に対する産業界の意識
3 寡占対策を担当した1年間
初めての管理職
経済理論を学ぶ
事前の市場の画定は可能か
4 合併規制を担当した約3年間
牧歌的な日本の企業再編成
透明性の向上策
米国合併ガイドラインの検討
企業数の重要性に対する誤った認識
5 産業構造調整と過剰設備廃棄カルテル
過剰設備廃棄カルテルの是非
共同販売会社の活用と問題点
6 国際契約審査を担当した約2年間
輸入総代理店と内外価格差問題
航空運賃の方向別価格差問題
7 特許・ノウハウライセンス契約ガイドラインの策定
ガイドライン策定の背景
パブリックコメントの先駆け
8 消費税の転嫁カルテル問題
消費税の導入
転嫁カルテルと表示カルテル
9 日米構造問題協議
流通・取引慣行ガイドライン
日米貿易摩擦の激化の中で、異質な経済構造のままで日本に将来はあるかを考える
10 規制緩和の推進と独禁法適用除外制度の見直し作業
不況カルテルの弊害
行政指導とカルテル
大規模小売店舗法の問題
適用除外制度の見直し
公正取引委員会の規制緩和への取組み
11 執筆・講演活動
本の編集活動
匿名の活動
論文執筆
英語での講演活動
第7章 日米構造問題協議後の独禁法運用強化の時代(1990年7月~1995年7月)
1 審査の現場での2年間行け行け時代の審査部
初めての審査部
1990年当時の事件処理状況
引き継ぎを受けた2件の事件処理
2 横田米軍基地入札談合事件
転換期の入札談合事件審査
一発課徴金事件
3 刑事告発の困難性埼玉土曜会事件
告発方針
専属告発権の重み
4 審判事件立会いの体験審判は楽しい?
ゲームソフト抱き合わせ審判事件
大阪バス審判事件
協和エクシオ審判事件
5 社会部記者とのお付き合い審査局管理企画課長の1年間
広報担当の役割
その他の管理企画課長業務
6 著作物再販制度の見直し作業取引課長の1年間
新聞業界との関わりの始まり
再販売価格維持行為
再販行為とメーカーの利益
その他の取組み
7 体制強化への取組み官房総務課長の1年間
官房総務課長の役割
体制強化への取組み
8 規制緩和と競争政策強化の一体的取組み
規制緩和と競争政策の関係
競争政策の強化に向けての理論武装
事務局から事務総局体制へ
9 執筆・講演活動
英文独禁法の執筆
その他の執筆活動
中央大学法学部非常勤講師に就任
第8章 持株会社の解禁官房審議官の2年間(1995年7月~1997年6月)
1 持株会社の解禁国会を駆け回った2年間
持株会社解禁の検討開始
与党検討プロジェクトのスタート
再度の法案作成への取組み
持株会社の考え方
規制改革と規制の弊害
2 NTTの改革
長年の懸案
NTTの分離・分割への考え方
非対称規制の考え方
3 創立50周年記念行事
カイム判事の実像を求めて
座談会
執筆活動について
第9章 再販制度の見直し取引部長の3年間(1997年6月~2000年6月)
1 著作物再販制度の見直し
再販問題研究会での議論
取りまとめの苦労
再販論議を通じて考えたこと
2 景品規制の見直し
景品規制の見直し
新聞業の景品規制の見直し
無代紙問題
新聞業特殊指定の見直し
3 規制緩和後の市場の混乱への対応
規制緩和と市場の混乱
契約社会の未発達に伴う問題
不当廉売問題
4 その他の取引部長時代の取組み
役務の委託取引の適正化
自主規制の在り方
特許・ノウハウライセンス契約ガイドラインの全面改訂
5 執筆活動
「21世紀の競争政策」の執筆
その他の執筆活動
有賀美智子追悼集の刊行
第10章 違反事件との格闘審査局長の2年間(2000年6月~2002年6月)
1 事件数の急増と審査局の対応
増強された審査体制
審査体制の強化
事件処理状況
どのような事件を摘発すべきか
規制改革後の市場における諸問題
国際的事件への対応
事件審査能力の強化
2 審判事件の増加
審判立会いの強化
弁護士の採用
3 刑事告発の困難性ポリプロピレン事件
刑事告発の不在
犯則権限を考える
4 21世紀に相応しい競争政策に向けて
報告書の提言
横並び・談合体質からの脱却
構造改革と競争政策
執筆活動
第11章 独禁法の強化改正の実現経済取引局長・事務総長の4年間(2002年6月~2006年6月)
1 独禁法改正作業の開始
法改正作業のスタート
助走の開始
エッセンシャル・ファシリティ問題
2 報告書の取りまとめ
途中交替
経団連との意見交換
3 改正法案作成に向けての合意形成プロセス
報告書の公表とパブリック・コメント
膨大な資料が公表された今次改正
不可欠施設問題について
法案作成作業
4 経済取引局長時代のその他の取組み
入札談合の防止に向けての取組み
規制改革への取組み
企業結合規制への取組み
5 国際的なプレゼンスの向上に向けて
公正取引委員会に対する海外での評価
国際会議への積極的参加
競争法弁護士の活動
6 事務総長の役割
大きくなった事務総局をどうやってまとめて行くか
記者会見はプレッシャー?
社会に対する情報発信
コンプライアンスの強化を訴える
第12章 これからの競争政策への期待
1 講演等を通じて訴えたこと
アドボカシーの足跡
競争政策と日本社会の親和性
2 36年間の総括日本経済の抱える問題点
効率性の軽視
画一性の追求
成長神話の幻影
和の精神と競争政策
市場競争イメージの相違
大都市と地方経済の格差経済の温度差
3 日本の経済力に相応しい競争政策の確立
日本型競争政策の模索
効率性と安定性のトレードオフの克服
競争は人の為ならず
インセンティブを軽視した日本
系列システムのとらえ方
競争政策の多様性
競争社会のエートス
4 東アジアでの競争法の展開
競争政策の競争の時代へ
日本の競争政策の経験から得られるもの
東アジア型競争政策はあるのか
5 司法化の波に乗れ
司法制度改革と競争政策
審査手法への影響
著作・論文一覧
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歴史はどう動いていったのか。 世の中に溢れている経済書の著者の中でも筆者の経歴は異色といえます。 公正取引委員会に36年間勤め、競争政策の只中に身を置いていた自分自身の経験から、高度経済成長、オイルショック、バブル経済、そして失われた10年に何がおきていたのかを淡々と綴っています。必要悪と言われていた談合体質からの脱却を図りつつある今日の日本で、次々と膿が出されている現代社会の指標を作った筆者の経験は、どのようなものだったのでしょうか。それが読めるのは本書だけです。
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