はしがき
プロローグ 環境法における自治体環境行政の重要性
1 環境にやさしくない立法過程?
2 法創造の最先端実験室
3 地方分権時代の自治体環境行政
第1部 自治体環境行政と条例
第1章 公害・環境条例の70年
1 日本国憲法のもとでの自治体行政
2 自治体環境行政の法的根拠
3 条例の展開過程
1.第1期 2.第2期 3.第3期
4.第4期 5.第5期
4 今後の展望
第2章 条例制定権の限界
1 条例と条例論の重要性
2 条例で土地利用を制約することができるか
1.条例が制定できる事務の範囲
2.憲法29条2項と条例による土地利用規制
3.憲法94条と条例による土地利用規制
3 「法令に違反しない条例」とは
1.「法律=最大限規制」論 2.規制目的
3.スソ下げ 4.横出し 5.上乗せ
6.ナショナル・マキシマムとナショナル・ミニマム
4 分権時代の条例論の探究
1.地方分権の意義 2.分権時代の条例論の基本枠組み
3.具体的可能性
5 都道府県条例と市町村条例
6 環境法制のさらなる発展のために
第2部 要綱と協定
第3章 要綱行政
1 要綱行政とは何か
2 条例か要綱か
1.行政に与えられた選択肢 2.行政にとっての理由
3.事業者にとっての理由 4.住民にとっての理由
3 環境保全要綱の内容と特徴
4 要綱と法律の関係
5 基本的には条例化を
第4章 公害防止協定・環境管理協定
1 協定とは
2 窮余の一策?
3 協定の盛況と最近の動向
4 なぜ協定か
1.行政にとってのメリット 2.事業者にとってのメリット
3.住民にとってのメリット
5 協定の内容
6 いくつかの論点
1.法的性質 2.議会回避と事実上の強制の問題点
3.締結手続と協定の公開 4.履行確保手法
7 協定の今後
第3部 環境基本法と環境基本条例
第5章 環境基本条例にもとづく自治体環境政策
1 新たな基本法の必要性と環境基本法の成立
2 環境基本法の概要
3 環境基本法における自治体施策の位置づけとその方向性
1.環境基本法と自治体施策
2.「法令に違反しない限りにおいて」の意味
3.「総合的計画的推進」
4.「国の施策に準じた施策」の意味
4 環境に関する基幹的条例の展開
5 環境基本法制定前後の基本条例とその特徴
1.第1期 2.第2期 3.第3期
4.自治体環境行政における基本条例の機能
6 環境基本条例の内容
1.条例のモデル 2.条例の構成要素
7 SDGsと環境基本条例
1.2つの理念、5つの原則、17のゴール、169のターゲット
2.環境基本条例への影響
8 環境ガバナンスにおける環境基本条例
1.分権改革と環境基本条例
2.条例制定プロセスの重要性 3.条例であることの意味
4.行政職員の環境意識
第6章 環境基本条例における環境権規定
1 「入れる入れない」環境権
2 環境権論
1.環境権の提唱 2.環境権論の展開と現在
3 環境基本法の認識
4 環境基本条例と環境権
1.前文方式 2.本文方式 3.検討
5 環境権規定をめぐる論点
1.環境権と行政権限 2.環境権の実現のための仕組み
6 環境基本条例と「環境権」「環境公益」
第4部 環境行政過程と社会的意思決定
第7章 自治体環境管理計画
1 「環境管理」とは何か
2 環境管理と計画手法
1.環境管理計画の動態的性格
2.計画という手法のメリット
3 地域環境管理計画の展開
4 環境基本条例のもとでの環境管理計画
1.環境基本条例と環境管理計画 2.計画の内容
3.総合計画と環境管理計画
4.法定計画としての環境管理計画 5.計画間調整
6.環境アセスメントと環境管理計画
7.SDGs時代の環境基本計画
8.都道府県計画と市町村計画
9.計画を実現するための権限をつくる
5 環境管理計画の策定過程
6 環境行政評価の必要性
第8章 合理的意思決定と環境アセスメント
1 過大な期待?
2 環境アセスメントという発想の背景
1.アセスメントとは 2.環境アセスメントとは
3.誰がなぜするアセスメント?
3 国レベルでの展開
1.法制化の動きと結末 2.環境影響評価法の成立
4 自治体環境アセスメント制度の展開
1.環境影響評価法成立前における制度化の状況
2.これまでの自治体環境アセスメント制度の特徴
3.環境影響評価法成立後の自治体の対応
4.法律対象事業と条例
5.条例対象事業に対する環境影響評価
6.川崎市条例を例にして
7.都道府県条例と市町村
8.行政手続法と地方分権の影響
5 より早期での環境配慮の制度化
第9章 手続法制の整備と行政指導・事前手続のゆくえ
1 行政手続法と自治体環境行政
2 行政手続法の制定とその概要
1.どのような発想にもとづくものか 2.法律の概要
3 自治体に期待されること
1.行政手続法と自治体行政手続の関係
2.行政手続法の実施と地方分権
4 行政指導の法的統制
1.行政指導の扱い
2.行政手続法の前提状況と自治体環境行政の現場
3.行政手続条例と行政指導 4.行政指導と法治主義
5 自治体事前手続の今後
1.「機関委任事務=諸悪の根源」説?
2.事前手続による対応 3.ひとつのモデル
第10章 情報を用いた環境管理と環境行政の管理
1 情報という行政手段
2 「環境情報」の認識
1.環境情報の分類 2.環境基本法の認識
3.環境基本条例の認識 4.「アブナイ」情報は出さない?
3 事業者行動のコントロールと情報:公表制度
1.ポジティブ情報 2.ネガティブ情報
3.公表の手続と実際
4 環境行政の実施管理と情報
1.環境基本法制の認識
2.情報公開条例を通じての公開可能性
3.告発との関係 4.環境行政の管理と情報
5.行政職員の意識 6.重要なのは法目的の実現
5 双方向的コミュニケーションを
第11章 環境管理と住民参画
1 住民参画の検討の視点
2 環境行政過程において住民参画はなぜ必要か
1.政策形成過程における住民参画
2.計画策定過程における住民参画
3.政策(法律・条例)実施過程における住民参画
3 住民参画の機能と役割
4 環境基本法や環境基本条例における扱い
5 住民参画の手段
1.意見書 2.説明会・公聴会 3.同意制
4.審議会 5.市町村(民)の意見聴取
6.行政権限の発動促進請求 7.パブリック・コメント制度
8.条例案比較検討会方式 9.そのほかの態様
6 住民参画を支えるもの
1.住民参画を支援する制度づくり
2.誰が監視者を監視するか
第12章 規制執行過程と自治体環境行政
1 執行権限行使の実態
2 規制システムと法律違反への対応
3 違反の発見
4 違反への対応
5 行政指導志向とその理由
6 措置命令はなぜ少ないか
7 改善命令の多い理由と少ない理由
8 執行にあたる行政職員の認識
9 告発が少ないのはなぜか
10 「マイ・ペース」行政とその是正方法
11 公共性にかなう規制執行とは
第13章 自治体環境行政をめぐる争訟
1 争訟における自治体行政の位置
2 オンブズマンと公害紛争処理
3 行政不服申立て
4 抗告訴訟・当事者訴訟
5 地方分権改革と法令自治解釈
第5部 自治体環境管理の最前線
第14章 広域的環境管理のための統一条例
1 行政区域を環境にあわせる
2 菊池川流域自治体の「河川をきれいにする条例」
1.条例制定の経緯 2.条例の概要
3.条例の特徴
3 そのほかの河川に関する統一条例
4 景観・生態系に関する統一条例
5 廃棄物関係の統一条例
6 統一条例の特徴
1.広域的環境管理への対応 2.地域的関心事への対応
3.利害調整の程度の抽象性 4.要綱でないこと
7 広域行政と「地域集権」
第15章 老朽空き家への法政策対応
1 問題状況
2 法律との関係
3 条例による取組み
4 認識されていた課題
5 空家法の制定
6 空家法制定後の自治体対応
第16章 土地利用調整・まちづくりへの条例対応
1 土地利用をめぐる自治体手続
2 神奈川県土地利用調整条例
3 高知県土地基本条例
4 鳥取県廃棄物処理施設条例6
5 法律の自治解釈
エピローグ これからの自治体環境行政
1 再び、自治体環境行政の重要性
2 再び、環境行政と住民参画
3 議会の役割
4 地方分権と環境政策法務
5 新たな社会的決定システム構築のために