人口減少・経済縮小の時代(=縮退の時代)における都市計画の理念を、“拡大”から“コントロール”へと方向転換(「管理型」都市計画)するための、法務 ・都市計画担当者が身に付けるべき考え方や手法を説く。
3,300円 (本体:3,000円)

ISBN |
978-4-474-07432-3 |
発刊年月日 |
2021-02-09
|
判型 |
A5判/C0032 |
ページ数 |
372 |
巻数/略称 |
/管理型都市計画 |
商品コード |
074328
|
縮退の時代の都市づくりに適合した都市計画を策定するに当たり、これまでの開発中心の「拡大型」手法から、自然環境や景観、“ひと”と調和した抑制的な「管理型」手法に改める際の考え方、基本的な対処方針、具体の計画技術を示すものであり、法的手法を追求する行政法学的な視点と計画技術を追求する都市工学的視点の両面から分析を試みた類書のない書籍。
第1部 総 論
第1章 「枠組み法化」及び「管理型」の意味(亘理 格)
1 問題の背景
2 「枠組み法化」の意味
3 「管理型」都市計画法の意味
4 狭域的視点と広域的視点との必要性
第2章 縮退の時代における都市計画制度(大貫裕之)
1 はじめに
2 枠組み法が求められる理由
3 枠組み法の議論が目指すもの
4 問題意識の展開
5 おわりに
第3章 「枠組み法化」と「管理型」都市計画法制
第1節 「管理型」都市計画法制について(角松生史)
1 先行研究
2 本研究の論点
3 管理
第2節 「枠組み法化」と「管理型」都市計画法制について(中井検裕)
1 はじめに
2 公共性の大小の意味するところ
3 ナショナルミニマムと外部性に着目した公共性
4 枠組み法化における地方公共団体
5 管理型都市計画の重要性
6 おわりに
第2部 現行法における「管理」の制度と実態
第1章 都市計画法にみる「管理」の位置づけ(原田保夫)
1 はじめに
2 都市計画法における「管理」の扱い
3 都市施設に関する都市計画と「管理」
4 土地利用に関する都市計画と「管理」
5 おわりに
第2章 「管理型」都市計画における地区計画の可能性と課題(内海麻利)
1 はじめに
2 地区計画の創設の経緯とその特徴
3 地区計画の運用実態
4 地区計画の課題と可能性
5 おわりに
第3章 景観法における「管理型」の法的仕組み(亘理 格)
1 はじめに
2 景観法の「枠組み法」的側面
3 横断的規制法としての景観法
4 「管理型」法制の先行例としての景観法
5 おわりに
第4章 空家法の実施と条例対応(北村喜宣)
1 空家法と空き家条例の現在
2 空家法の概要
3 空き家条例の枠組み
4 最近の空き家条例の分析
5 空家法との並行規制状態の存置
6 全体的な印象
第5章 超高齢社会・人口減少社会におけるマンション管理問題(吉田克己)
1 はじめに
2 マンションの建替えと区分所有関係の解消
3 マンションの長命化と大規模修繕
4 おわりに
第6章 農業関係法における「管理」の制度と実態(原田純孝)
まえがき
1 本章の課題と目的
2 「農地の管理」の多層性と多面的な性質
3 農地管理制度の展開の経緯と問題状況
4 農地管理制度の“限界・綻び”の表出と新しい課題
第7章 入会権の変容と今日的課題(古積健三郎)
1 はじめに
2 入会集団・総有の本来的構造とその変容
3 入会権の登記の問題
4 おわりに
第3部 小公共における「管理」の最前線
第1章 都市のスポンジ化と都市計画(饗庭 伸)
1 はじめに
2 スポンジ化する都市空間
3 スポンジ化への対応
4 空き地・空き家を使った取組み
5 都市計画の変化
6 目的を再編成する
7 小さく混ぜ込まれた公共施設の取組み
8 空間の管理
第2章 都市計画法関係協定制度の現状把握及び今後の課題(佐々木晶二)
1 はじめに
2 都市計画法関係協定制度の概要
3 都市計画法関係協定の運用実績
4 都市計画法関係の協定制度の運用に関する留意点
5 まとめ
第3章 新たな協定制度等の創設(宇野善昌)
1 都市を取り巻く環境の変化
2 「利用の放棄」への対応の方向性
3 新たな協定制度等の創設
第4章 管理型都市づくりとエリアマネジメント(小林重敬)
1 はじめに
2 エリアマネジメントによる都市づくりを考える基本的事項
3 我が国におけるエリアマネジメントの実際
4 立地適正化計画と持続可能な都市づくりについて
5 エリアマネジメントの現在とこれから
第5章 縮退実施のための協働的プランニングと土地所有権(高村学人)
1 はじめに
2 協働的プランニングとは何か
3 ドイツにおける「都市建設上の発展構想」
4 アメリカ・デトロイト市における協働的プランニング
5 まとめにかえて
第4部 「枠組み法化」と「管理型」都市計画法制の考え方
第1章 これからの都市計画法制(亘理 格)
1 「管理型」都市計画法を構想する際の基本的視点
2 単一目的型から複数目的併存型への変容
3 「管理型」都市計画法における国と地方・地域間の立法管轄の考え方
4 「管理型」都市計画法の全体像
5 むすびに代えて
第2章 マクロ的対応・ミクロ的対応と「管理型」都市計画法制の担い手(内海麻利)
1 はじめに
2 社会経済情勢の変化に伴う都市計画の課題と管理行為
3 「管理型」都市計画における空間管理参与者
4 空間管理参与者としての組織の可能性
5 おわりに
第3章 「枠組み法化」と「管理型」都市計画法制(大貫裕之)
1 到達点
2 ノイラートの船
3 都市計画が対峙する現実
4 現行都市計画法制の大きな見取り図
5 都市法秩序は現行法においてどう形成されるか
6 現行法は対応できる?
7 規制手法の限界
8 より狭域における法秩序形成
9 規制から協働へ
10 都市計画の分野における協定に関する特別の取扱い
11 ノイラートの船に乗る我々の対処方法
第4章 「管理型」都市計画の確立のための実践的考察(原田保夫)
1 はじめに
2 「管理型」都市計画のあるべき姿
3 「協定型」都市計画の制度化のポイント
4 都市施設に関する都市計画に係る若干の考察
5 まとめ
第5部 あとがき──むすびに代えて(藤田宙靖)
▼もっと見る
・人口減少・経済縮小の時代(「縮退の時代」)におけるまちづくり・都市計画は、拡大指向を伴う“開発・発展”型から、人に優しく自然環境に調和した“管理”型へと方向転換することが必要であり、本書には、そのための考え方や具体的な法整備・計画技術の手法が網羅されている。
・都市計画法や建築基準法といった国の都市計画法制を遵守した地域開発やまちづくりを行うというこれまでの手法から、国と自治体の権限配分により、条例に一定の権限を与えて都市計画法制の整備を行うという考え方(「枠組み法化」)に転換するための理念や具体的な法・条例制定の手法が明らかにされる。