弁護士が、相続事件受任案件に応じ収集する資料や証拠の『調査収集方法』とその『見方・評価』がわかり、陥りやすい失敗を避けるための勘所を先輩弁護士の失敗談からも学べる解説書。
3,960円 (本体:3,600円)
ISBN |
978-4-474-07604-4 |
発刊年月日 |
2022-02-03
|
判型 |
A5判/C2032 |
ページ数 |
352 |
巻数/略称 |
/弁証拠調査相続 |
商品コード |
076042
|
若手弁護士が、相続事件において必要な『資料や証拠の調査』が理解できるだけでなく、『資料や証拠の見方・評価』がわかるようになり、さらに、陥りやすい失敗を避けるための勘所を先輩弁護士の失敗談からも学べる、相続事件に特化した“資料・証拠の調査や収集方法”がわかる実践書。
はしがき
編集・執筆者一覧
凡 例
序編
Ⅰ はじめに
Ⅱ 相続問題の手続概要
Ⅲ 相続問題の具体的場面
事例1 相続人の範囲・遺産の調査・調停・相続分・分割方法・課税関係
⑴ 相続人の範囲を確定するために必要な資料の調査方法
⑵ 遺産の調査
⑶ 遺産分割調停の申立て
⑷ 各相続人の相続分の確定
⑸ 遺産の分割方法
事例2 相続財産の範囲・評価・分割方法・課税関係
⑴ 相続財産の範囲・課税関係
⑵ 遺産の評価
⑶ 特別受益・寄与分
事例3 相続放棄
⑴ 法定代理人による相続放棄
⑵ 相続放棄の申述期間
事例4 遺言(平成30年民法改正後)
遺言書作成・配偶者居住権・遺留分
⑴ 遺言書の作成
⑵ 遺言の調査・遺留分侵害額請求権
事例5 遺言(平成30年民法改正前) 遺言の有効性
事例6 国際相続
第1編 相続開始後における典型的な法的諸問題
第1章 相続人の範囲
Ⅰ 相続人の調査
1 相続とは何か
2 死亡の概念
3 相続における「被相続人と相続人の同時存在の原則」
4 相続人の確定
5 相続人の法定相続分
6 相続人の確定上の具体的な問題が生じる場合
⑴ 想定事案1(同時死亡・代襲相続等)
⑵ 想定事案2(相続人の地位の重複の場合)
経験談1 相続人の特定あれこれ
7 相続人確定のための具体的な作業
経験談2 樺太の戸籍と外務省
8 法定相続情報証明制度
Ⅱ 欠格・廃除
1 相続人の欠格事由(民法891条)
2 相続人の廃除(民法892条)
Ⅲ 相続人の不存在~特別縁故者制度~
1 はじめに
2 実際の相続財産管理手続
3 特別縁故者の財産分与請求(民法958条の3)
⑴ 請求期間
⑵ 特別縁故者とは何か
⑶ 清算後財産分与の内容
⑷ 残余相続財産の国庫帰属(民法959条)
経験談3 民法255条と民法958条の3はどっちが優先?
経験談4 民法255条に基づく共有持分移転登記手続のための相続財産管理人選任申立て
経験談5 特別縁故者による相続財産管理人選任申立て
第2章 遺産の範囲の特定と評価
Ⅰ 遺産の調査と範囲の適否、遺産の評価
1 不動産
⑴ 不動産の調査
⑵ 不動産の評価額
⑶ 不動産の賃料
経験談6 税務調査が打開した遺産隠し
2 預貯金
⑴ 預貯金の調査
⑵ 無断引出し
⑶ 預貯金払戻し制度
⑷ 仮分割の仮処分(家事事件手続法200条3項)
経験談7 被相続人名義の貸金庫を相続人の1人が確認する方法
3 有価証券
⑴ 有価証券の調査
⑵ 有価証券の評価
経験談8 被相続人の財産調査について
4 生命保険
⑴ 調 査
⑵ 保険契約のパターン
⑶ 特別受益との関係
5 暗号資産
⑴ 暗号資産とは
⑵ 暗号資産は相続対象となるか
⑶ 調査に当たっての留意点
6 債権(預貯金債権以外の可分債権)
⑴ 預貯金債権以外の債権
⑵ 遺産分割の対象か
⑶ 債権の調査
7 債 務
⑴ 相続財産であるが、遺産分割の対象ではない
⑵ 連帯債務
⑶ 保証債務
⑷ 債務の調査方法
経験談9 社長が被相続人の場合の注意点
8 死亡退職金
⑴ 死亡退職金は相続財産か
⑵ 死亡退職金の根拠規定がある場合
⑶ 死亡退職金の根拠規定がない場合
⑷ 死亡退職金の調査
9 公的年金等
⑴ 未支給年金について
⑵ 遺族に給付される年金
10 祭祀財産・葬儀費用
⑴ 祭祀財産
⑵ 葬儀費用
⑶ 香 典
経験談10 祭祀承継財産は遺産にあらず①相続財産管理人の事例
経験談11 祭祀承継財産は遺産にあらず②遺言執行者の事例
11 法定果実
⑴ 問題の所在
⑵ 実務上の取扱い
⑶ 法定果実の調査方法について
12 使途不明金
⑴ 被相続人の生前の使途不明金の場合
⑵ 被相続人の死亡後の使途不明金の場合
⑶ 改正民法906条の2の規定
⑷ 改正民法909条の2との関係
⑸ 遺産分割の調停における実務上の処理
経験談12 生前贈与等の持戻しが認められなかった事例
Ⅱ 遺産の評価
第3章 遺産の分割方法
Ⅰ 法定相続分
1 法定相続分の調査の意義と方法
2 相続分の譲渡と相続分の放棄
3 相続放棄
経験談13 海外に駆け落ちした相続人が突然帰国したので、公証役場で相続分譲渡証書にサイン証明を添付していただいた事案
Ⅱ 特別受益
1 特別受益の対象
2 特別受益の効果
3 特別受益に関する問題点
Ⅲ 寄与分と特別寄与料
1 寄与分と特別寄与料の対象
2 寄与分の算定
3 寄与分に関する問題点
経験談14 寄与と特別寄与料の関係
Ⅳ 具体的な分割方法
1 遺産分割の方法
2 現物分割
3 代償分割
4 換価分割
5 共有分割
経験談15 遺産分割と共有物分割
Ⅴ 遺産分割協議書・調停条項案の作成
1 遺産分割協議
2 書面の作成
経験談16 「ないし」は使わない方がよい?!
経験談17 遺言書がなく、相続人(代襲相続人)が多数存在する事案
第4章 遺留分制度
Ⅰ はじめに
Ⅱ 相続法改正による抜本的な制度の見直し
Ⅲ 遺留分、遺留分侵害額の算定方法
1 遺留分の算定方法について
2 「遺留分を算定するための財産の価額」について
3 「遺留分を算定するための財産の価額」に算入する「贈与」の価額について
4 負担付贈与について
5 遺留分侵害額の算定方法について
Ⅳ 遺留分侵害額請求権
1 遺留分減殺請求権から遺留分侵害額請求権へ
2 遺留分侵害額請求権行使の効果について
3 受遺者又は受贈者の負担額について
4 期限の許与について
5 遺留分侵害額算定における債務について
Ⅴ 具体的事例における計算
事例1
事例2
事例3
経験談18 遺留分減殺請求と認知無効訴訟とDNA鑑定
第5章 相続放棄・限定承認
Ⅰ 相続放棄
1 相続放棄の概要
⑴ 要件と効果
⑵ 熟慮期間の起算点
⑶ 相続人が数人いる場合の熟慮期間の起算点
⑷ 再転相続の場合の熟慮期間の起算点
⑸ 熟慮期間経過後の申述
⑹ 法定単純承認事由(隠匿)の該当性(形見分け)
2 相続放棄の手続
3 相続放棄の申述
4 相続放棄の申述の受付
5 事実の調査・審理
6 審判と通知
⑴ 審判の不服申立てと確定
⑵ 審判確定の効力
⑶ 審判の取下げ
7 相続放棄の受理証明と照会
⑴ 相続放棄の受理証明
⑵ 相続放棄の申述有無の照会
8 相続放棄後の相続財産の管理
⑴ 相続放棄した者による管理
⑵ 裁判所による必要な処分命令
⑶ 相続人が明らかでない場合
9 申立期間の伸長
10 相続放棄の取消し
11 相続放棄の無効
12 その他の論点
⑴ 共同相続している法定代理人による被後見人又は未成年者の相続放棄
⑵ 再転相続と相続放棄
経験談19 相続放棄に関連する事案について
Ⅱ 限定承認
1 限定承認の概要(要件と効力)
2 限定承認の手続
3 限定承認の申述
4 限定承認の申述の受付
5 事実の調査・審理
6 審判と通知
7 相続放棄の受理証明と照会
8 限定承認後の相続財産の管理
⑴ 限定承認者等の職務
⑵ 限定承認者等の管理
9 申立期間の伸長
10 限定承認の取消し
経験談20 死後認知で債務の相続を免れる
第6章 相続税
Ⅰ はじめに
Ⅱ 相続税の基礎知識
1 相続税の計算方法
⑴ 各相続人等の課税価格の計算【ステップ1】
⑵ 相続税の総額の計算【ステップ2】
⑶ 各相続人等の納付税額の計算【ステップ3】
2 財産評価の要点
⑴ 土地の評価方法
⑵ 家屋の評価方法(財産評価基本通達89)
⑶ 株式の評価方法
3 相続があった場合の申告・納税・手続期限
⑴ 相続税申告書の提出義務者(相続税法27条1項)
⑵ 相続税申告までのスケジュール
⑶ 期限内に相続税申告をしなかった場合の相続税額への影響
Ⅲ 実務上留意すべき事項
1 遺言作成前に確認すべきポイントと対策
⑴ 相続税試算の必要性
⑵ 相続対策の4要素
2 遺産分割(遺言)内容の相続税等への影響
⑴ 小規模宅地等の評価減の特例への影響
⑵ 配偶者の税額軽減及び二次相続発生時の税額への影響
⑶ 遺贈の相続税額等への影響
⑷ 代償分割と譲渡所得税
⑸ 換価分割と譲渡所得税
3 未分割での申告と修正申告・更正の請求
⑴ 未分割での申告及び納税
⑵ 修正申告・更正の請求
4 相続財産から生じた法定果実の取扱い
5 配偶者居住権等の税務上の取扱い
⑴ 配偶者居住権を設定したとき(相続税法23条の2)
⑵ 配偶者居住権が消滅したとき(相続税法基本通達9-13の2)
⑶ 一次相続・二次相続シミュレーションの計算例
経験談21 小規模宅地等の特例を活用した相続事例
経験談22 相続人に対する債権がある場合の遺言
経験談23 相続処理は、他士業と連携して進めるべし
第7章 国際相続に関する相続問題の調査と対応について
Ⅰ 総論──準拠法と裁判管轄
1 はじめに
2 準拠法
3 裁判管轄
Ⅱ 外国人の相続登記
1 不動産相続登記の添付書類
⑴ 外国人登録原票の写し
⑵ 戸籍法に基づく証明書
⑶ 判決・審判等
⑷ 本国官公庁発行の文書
⑸ その他上申書
2 在日韓国・朝鮮人の相続についての留意点
⑴ 北朝鮮を本国法とする場合
⑵ 韓国を本国法とする場合
⑶ 本国官公庁の発行文書についての補足
Ⅲ 国際相続と遺言
1 遺言の方式の準拠法
2 遺言書検認の国際裁判管轄等
3 遺言執行者選任の国際裁判管轄、選任と権限の準拠法
⑴ 遺言執行者選任の国際裁判管轄
⑵ 遺言執行者の選任及び権限の準拠法
Ⅳ 相続の限定承認・放棄について
1 国際裁判管轄権・準拠法
2 相続の限定承認・放棄の方式
Ⅴ 特別縁故者への財産分与の可能性について
1 相続人が不存在である場合の裁判管轄
2 相続人不存在の確定まで
3 相続人不存在の確定後における財産の帰属
4 特別縁故者への財産分与
Ⅵ おわりに
第2編 相続に関する手続とその他の法的諸問題
第1章 調停・審判
Ⅰ 調 停
1 相続に関する調停
2 遺産分割調停
⑴ 遺産分割調停の申立て
⑵ 遺産分割調停の進行
⑶ 調停の終了
⑷ 記録の閲覧謄写
3 その他の調停について
⑴ 寄与分を定める処分調停
⑵ 特別の寄与に関する処分調停
⑶ 遺留分侵害額の請求調停(遺留分減殺による物件返還請求調停)
経験談24 調停前の交渉経過が反映されなかった事例
経験談25 長期間を要した遺産分割案件
経験談26 代理人相互のあり方
経験談27 ある相続事件の顚末
経験談28 調停調書の交付が遅れたために…
Ⅱ 審 判
1 はじめに
2 遺産分割審判が行われる場合
⑴ 実質的に調停前置であること
⑵ 調停が不成立になった場合の審判移行
⑶ 調停に代わる審判が当事者の異議申立てにより失効した場合の審判移行
3 遺産分割審判の手続
⑴ 当事者
⑵ 管 轄
⑶ 費用等
⑷ 提出書類等
⑸ 審判の進行
⑹ 審 判
⑺ 即時抗告
⑻ 審判の取下げ
4 その他の審判事件との関係
⑴ 家事事件手続法別表第一に掲げる事項に関する審判手続と別表第二に掲げる審判手続とは併合できないこと
⑵ 寄与分を定める処分の審判
経験談29 遺産分割審判により不動産の競売を命じられた場合の手続について
第2章 遺言と死因贈与
Ⅰ 遺 言
1 遺言者(被相続人)からみた遺言(相続に備えた相談)
⑴ 遺言の方式
⑵ 遺言の作成
⑶ 自筆証書遺言書保管制度
経験談30 遺言執行と遺贈放棄
経験談31 遺言書保管制度の利用場面
2 相続人からみた遺言(相続開始後の相談)
⑴ 遺言の調査(遺言の有無の確認)
⑵ 遺言の検認・開封
⑶ 遺言執行者と遺言の執行
⑷ 遺贈の承認又は放棄
⑸ 遺言の有効性
⑹ 遺言と遺産分割協議
⑺ 遺言無効確認の調停・訴訟
経験談32 要式を欠く自筆証書遺言の効力
経験談33 遺言無効確認請求訴訟の原告と被告
経験談34 遺言執行者の選任にはご注意を!
経験談35 自筆証書遺言の偽造の立証について
Ⅱ 死因贈与
1 死因贈与の方式
2 死因贈与の効力
経験談36 負担付死因贈与契約の活用
第3章 不動産に関わるその他の相続問題
Ⅰ 配偶者居住権(民法1028条1項)
1 配偶者居住権の意義
2 配偶者居住権の取得
⑴ 配偶者居住権の成立要件
⑵ 遺産分割審判による配偶者居住権の取得
⑶ 遺贈による配偶者居住権の取得
3 配偶者と居住建物の所有者との法律関係
4 配偶者居住権に関する注意点
5 配偶者居住権の財産評価
6 配偶者居住権の登記
7 配偶者居住権の消滅
8 配偶者居住権の消滅後の処理
⑴ 居住建物の返還義務(民法1035条1項)
⑵ 付属物の収去義務(民法1035条2項、599条1項・2項)
⑶ 原状回復義務(民法1035条2項、621条)
⑷ 配偶者による負担費用の償還請求(民法1036条、600条1項)
⑸ 居住建物所有者の配偶者に対する損害賠償請求(民法1036条、600条2項)
9 配偶者短期居住権
⑴ 配偶者短期居住権の意義(民法1037条1項)
⑵ 配偶者短期居住権の成立要件
⑶ 配偶者短期居住権の内容
⑷ 配偶者短期居住権の消滅
経験談37 配偶者居住権と相続税
Ⅱ 持戻し免除の意思表示の推定規定(民法903条4項)
1 持戻し免除の意思表示の推定の意義
⑴ 特別受益とその持戻し
⑵ 持戻しの免除
⑶ 特別受益の持戻し免除の意思表示の推定規定の新設(民法903条4項)
2 持戻し免除の意思表示の推定規定(民法903条4項)の注意点
Ⅲ 相続と登記~相続による不動産の取得と登記~
1 共同相続における権利の承継の対抗要件(民法899条の2)規定の新設
⑴ 民法改正前
⑵ 民法改正(対抗要件主義の採用)
⑶ 法定相続分の相続と相続放棄
2 相続を起因とする登記の義務化について
事項索引
判例索引
編集後記
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○相続の手続・手順の解説だけでなく、相続人の調査、遺産の特定・評価など具体的な相続場面において、必要な資料、その調査・収集方法について解説するとともに、収集した資料・証拠の読み方等について解説
〇国内の相続事件だけではなく、国際相続に関する調査と対応について解説するとともに、不動産登記や相続税についても解説
○若手弁護士が実際の業務の場面で失敗を避けられるよう、先輩弁護士の「経験談(失敗談)」を豊富に紹介