弁護士の悩みやストレス分析を踏まえて、弁護士のメンタル不調に関するお悩み事例エピソードについて対処法(悩み解決へのアプローチやセルフケアの具体策)を解説することで、弁護士向けに特化したメンタルヘルスケアについて学べる唯一の書。
3,740円 (本体:3,400円)

ISBN |
978-4-474-04800-3 |
発刊年月日 |
2025-03-04
|
判型 |
A5判/C2036 |
ページ数 |
346 |
巻数/略称 |
/弁護士メンタル |
商品コード |
048009
|
メンタルヘルスに悩みを抱えた弁護士へのインタビューや相談実例に基づき、弁護士のストレス分析・傾向、対処法や悩み解決へのアプローチについて、弁護士の視点から解説。理論編・事例編の2部構成とし、執筆や監修として精神科専門医、臨床心理士等の各種専門家も参画。
はじめに
理論編
第1章 弁護士業務とストレス
Ⅰ ストレスとは何か?
1. ストレスの定義や種類
Ⅱ ストレスに強いとは?
1.「 ストレスに強い」ことのよくある誤解
2. ストレスへの強さの理解を深める
Ⅲ ストレスによる弁護士業務への悪影響
1. ストレスが弁護士業務に与える悪影響の具体例
第2章 弁護士が抱えやすい不調
Ⅰ 弁護士を取り巻くストレス
1. 弁護士を取り巻く環境
2. 弁護士が抱えるストレス
Ⅱ 弁護士業務への影響
Ⅲ 事務員がストレスを感じやすい場面とは?
COLUMN カウンセラーから見た弁護士という仕事の大変さ
第3章 自覚症状チェックリスト
Ⅰ 各種チェックリストの概要
1. ストレスに関するチェックリスト
2. 疲労の蓄積
3. 抑うつ症状
Ⅱ 代表的な精神疾患の特徴と治療法
1. 気分障害
2. 適応障害
3. 発達障害
4. 不安障害
5. アルコール使用症
6. 睡眠障害
第4章 セルフケア
Ⅰ 弁護士に必要なセルフケア
1. 必要最低限のセルフケア
2. 弁護士に必要なセルフケアとは?
Ⅱ 具体的なセルフケア方法の紹介
1. 生活習慣を整える―日常生活の積み重ねから
COLUMN 何もしないことの大切さ
第5章 業務上のコミュニケーション
Ⅰ 円滑なコミュニケーションを行う方法
1. 円滑なコミュニケーションをとるための理論
2. 自我状態
3. 依頼者と円滑なコミュニケーションを行う方法
Ⅱ 法律事務所における働き方とその影響
1. 法律事務所の運営状況
2. 弁護士のストレス事情
Ⅲ 職場におけるコミュニケーション
1. 法律事務所内で円滑なコミュニケーションを可能にする方法
2. 心理的安全性
3. ボス弁に期待されるコミュニケーション
第6章 休業と復帰
Ⅰ メンタルクリニックの受診について
1. メンタルクリニック受診の目安
2. メンタルクリニックの選び方のポイント
Ⅱ 休業から復職へ
1. 主治医から仕事を休むように提案された場合
2. 復帰後の働き方
3. 事業所によるメンタルヘルス不調者への対応のポイント
事例編
事例編を読む前に
CASE 1 若手弁護士
新人弁護士の苦悩―職場環境と業務内容への不満
Ⅰ 新人弁護士A が抱える問題
1. 成長の機会がないことへの不安や苛立ち
2. 不平等に対する不満
3. 所長とのコミュニケーション不全
Ⅱ 新人弁護士Aが取った対策
1. 自分から学びに行く姿勢
2. 同期との扱いの相違を知る
3. 同僚の話から事務所への理解を深める
4. 他の法律事務所の弁護士から話を聞く
Ⅲ 本事例で取れるその他の対策や予防
1. 社会人経験がない苦労
2. ストレスケア
CASE 2 若手弁護士
ボス弁からの厳しい叱責に悩む日々
Ⅰ 若手弁護士B が抱える問題
1. ストレス反応
2. 学習性無力感
3. 職場内のソーシャルサポートの不足
Ⅱ 若手弁護士B が取った対策
1. 職場外のソーシャルサポート
2. 脱中心化(Decentering)
Ⅲ 本事例で取れるその他の対策や予防
1. 心理学的なアプローチ
2. 現実的なアプローチ
CASE 3 若手弁護士
訴訟で緊張してしまう新人弁護士
Ⅰ 新人弁護士A が抱える問題
1. 裁判官への対応に対する不安と緊張
2. 完璧主義によるプレッシャー
3. 緊張や不安感が強くなった場合の心理的な不調
Ⅱ 新人弁護士A が取った対策
1. 他の人の話を聞く
2. 成功体験などを振り返る
3. 訓練の実施
Ⅲ 本事例で取れるその他の対策や予防
1. あがり症を克服するためにできる対策
2. 緊張に対する心構え
3. 完璧主義への対策
4. ストレスコーピング
5. 認知行動療法
CASE 4 若手弁護士
成長への焦りで失われるプライベートと健康
Ⅰ 若手弁護士Aが抱える問題
1. 弁護士としての職場適応
2. 劣等感と自己評価の低さがもたらすもの
3. ワークライフバランス
Ⅱ 若手弁護士A が取った対策
1. 仕事量を増やす(ハードワーク)
2. 指導担当係への相談
3. 目標の設定とコーピングスキル
4. ストレス発散のための飲酒
Ⅲ 本事例で取れるその他の対策や予防
1. 成長のためのハードワークを見直す―交流分析の人生脚本から
2. 自己評価と振り返り―少しの軌道修正をしたいとき
3. 時間配分の見直し
CASE 5 若手弁護士(中堅弁護士・経営者弁護士)
仕事の相談がしづらい職場環境
Ⅰ 新人弁護士H が抱える問題
1. 相談できない環境
2. 相談できない個人的要因
Ⅱ 新人弁護士H が取った対策
1. 相談しやすい環境を作ったこと
2. できることから行動に移したこと
Ⅲ 本事例で取れるその他の対策や予防
1. 三項随伴性―相談できないメカニズム
2. 相談しやすくする組織的な取組み
3. 相談を可能にする個人レベルの取組み
4. 相談するための準備
5. 弁護士の友達づくり
CASE 6 中堅弁護士
独立への思いと家族からの反対
Ⅰ 中堅弁護士A が抱える問題
1. 成長とともに変わるキャリアの葛藤
Ⅱ 中堅弁護士Aが取った対策
1. ネガティブ・ケイパビリティ
2. キャリアの葛藤を超える―仕事は人生の一部
3. 相談の重要性
4.「 価値」の明確化
Ⅲ 本事例で取れるその他の対策や予防
1. ネガティブ・ケイパビリティの鍛え方
2. コーピングレパートリーを豊富に
CASE 7 中堅弁護士
忙しくて週末も家族との時間が取れない
Ⅰ 中堅弁護士A が抱える問題
1. 土日休みを決断する前の葛藤
2. 土日休みを決断した後の葛藤
Ⅱ 中堅弁護士Aが取った対策
1. アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)
2. ソーシャルサポート
Ⅲ 本事例で取れるその他の対策や予防
1.柔軟な働き方
2.依頼者の期待値の調整
3.思考を柔軟に保つこと
CASE 8 経営者弁護士
パートナー候補の退職と引継ぎの苦労
Ⅰ 経営者弁護士Lが抱える問題
1. 所属弁護士の退職という喪失体験
2. 引継ぎの負担により生じるさまざまな懸念
Ⅱ 経営者弁護士Lが取った対策
1. 退職に対するネガティブな感情の整理
2. 引継ぎ業務への割り切り
3. 業務体制の再編
Ⅲ 本事例で取れるその他の対策や予防
1. コミュニケーションによる職場環境の改善
2. メンタルヘルス不調のチェック
3. その他の考えられる対策
CASE 9 経営者弁護士
弁護士や事務員の退職と難航する採用
Ⅰ 経営者弁護士A が抱える問題
1. うまくいかないことが繰り返されることで生じる心理的状況―学習性無力感
2. 求める人材が採用できない!!―要求水準を検討する
Ⅱ 経営者弁護士Aが取った対策
1. 現実問題への対処―弁護士A の実行機能の高さ
2. ピアサポートの獲得
Ⅲ 本事例で取れるその他の対策や予防
1. 学習性無力感の改善に取り組む
2. 要求水準を下げるには?
3. 要求水準を下げられない背景とその対処―実行機能と問題解決
CASE 10 経営者弁護士
ボス弁の孤独― 経営方針の衝突と相談相手の不在
Ⅰ 経営者弁護士Fが抱える問題
1. 他人に向けられる完璧主義
2. 経営者の孤独感
Ⅱ 経営者弁護士Fが取った対策
Ⅲ 本事例で取れるその他の対策や予防
1. 完璧主義の緩和
2. 孤独感の軽減
3. レジリエンスの向上
4. 不調に気づく方法
CASE 11 経営者弁護士(弁護士全般)
事務所運営と好きな仕事の間で揺れる思い
Ⅰ 経営者弁護士Eが抱える問題
1. 経営者と弁護士との間で生じる役割葛藤
2. 経営者としての意思決定
Ⅱ 経営者弁護士Eが取った対策
1. 役割葛藤への対処
Ⅲ 本事例で取れるその他の対策や予防
1. 役割葛藤から生じるストレスへの対処
2. モチベーションの向上
3. 決断疲れへの対処
COLUMN ボス弁たちの葛藤と後継者育成の課題
CASE 12 弁護士全般
感情的・高圧的な依頼者対応における苦悩
Ⅰ 弁護士Ⅰが抱える問題
1.感情的な依頼者とのコミュニケーション
2.高圧的な態度をとる依頼者への対応
Ⅱ 弁護士Iが取った対策
1. 依存する依頼者とのコミュニケーション
2. 高圧的な態度をとる依頼者との信頼関係の構築
Ⅲ 本事例で取れるその他の対策や予防
1. 執拗な電話への対応や心構え
2. 高圧的な態度をとる依頼者への対処
3. 受任継続の検討
CASE 13 弁護士全般
弁護士会の会務が業務を圧迫する
Ⅰ 弁護士C が抱える問題
1. 認知的不協和
2. 業務等の負担増と連携不全
Ⅱ 弁護士Cが取った対策
1.委員就任における認知的不協和の解消―認知を変える
2.会務における認知的不協和の解消―考えの「幅を広げる」
3.連携不全の解決―問題解決法
Ⅲ 本事例で取れるその他の対策や予防
1.業務の洗い出しと業務の分担
CASE 14 弁護士全般
報酬の悩み.. 請求の煩わしさや業務量とのバランス
Ⅰ 弁護士Cが抱える問題
1. 慢性的ストレスの蓄積とバーンアウトのリスク
2. 自己効力感の低下
3. 報酬と業務量のアンバランスによるフラストレーション
4. 対人関係のストレスと感情労働
Ⅱ 弁護士Cが取った対策
1. 報酬請求について先輩に相談したこと
2. 受任時に報酬の説明をより丁寧に行ったこと
3. 事件を抱えすぎないようにしたこと
4. 独立を検討したこと
Ⅲ 本事例で取れるその他の対策や予防
1. 休憩する
2. 成功体験を積み重ねて自己効力感を高める
3. 社会的支援を活用する
CASE 15 弁護士全般
高負荷案件によるプレッシャー
Ⅰ 弁護士A が抱える問題
1. 非機能的認知
2. 燃え尽き症候群(バーンアウト)
3. 社会的評価
4. 不調を無視して働く
Ⅱ 弁護士Aが取った対策
1. 問題焦点型コーピング
2. 思考の切り替え方(認知再構成法)
Ⅲ 本事例で取れるその他の対策や予防
1. 心理学的アプローチ
2. 業務の分担
3. 他の選択肢が取りづらい場合―ストレスコーピング
CASE 16 弁護士全般
注目事件の弁護人が受ける被害
Ⅰ 弁護士Fが抱える問題
1. 生活の安心が守られないことのストレス
2. 注目を集めることの影響
3. 周囲との軋轢によるコミュニケーション不全
4. 将来への不安と心配
Ⅱ 弁護士Fが取った対策
1. 批判に注目せず俯瞰する
2. 家族や所員との話合い
Ⅲ 本事例で取れるその他の対策や予防
1. 現実の危険には具体的な対策を立てる
2. 環境からの影響が強いことを心得ておく
3. 具体的なストレスに対処する
CASE 17 弁護士全般(事務所経営者)
脅迫と怒声がもたらす恐怖
Ⅰ 弁護士Aが抱える問題
1. A 自身が感じる恐怖
2. 安全確保の責任
Ⅱ 弁護士A が取った対策
1. 警備サービスの導入と警察との連携
2. 事務員との定期的な話合い
Ⅲ 本事例で取れるその他の対策や予防
1. 誰でも怖いものは怖いと理解し重篤化を予防する
2. 他の弁護士に相談する
3.その他―リラクセーションの時間や趣味や家族との時間
COLUMN トラウマへの対応
CASE 18 女性弁護士
妊娠・出産を経て弁護士業務とキャリアに悩む
Ⅰ 女性弁護士A が抱える問題
1. 妊娠自体が心身にストレスを生じさせる
2. 産前産後の業務に関する女性弁護士A の悩み
Ⅱ 女性弁護士Aが取った対策
Ⅲ 本事例で取れるその他の対策や予防
1. 事前に環境を整えておく
2. 環境調整以外の予防策
CASE 19 男性弁護士(弁護士全般)
男性弁護士として性犯罪被害者支援に関わる葛藤
Ⅰ 男性弁護士Aが抱える問題
1. 男性弁護士に恐怖する女性依頼者
2. 自信の喪失や依頼者対応への不安
Ⅱ 男性弁護士Aが取った対策
1. 周囲にサポートを求める姿勢
2.「 自分が関わってよいのだろうか」との悩みを自覚できていること
3. 性被害などについて専門的な知識を積極的に学習していること
Ⅲ 本事例で取れるその他の対策や予防
1. アンコンシャスバイアス
2. トラウマインフォームドケア
CASE 20 企業内弁護士
他部署との対立で疲弊する法務部員
Ⅰ 企業内弁護士B が抱える問題
1. 営業部からの反発―社内の人間関係の悪化
2. 業務への不当な評価―やりがいの喪失
Ⅱ 企業内弁護士B が取った対策
1. 法務部内の人間関係を良好に保ったこと
2. 営業部からのクレームを受けて話を聞いたこと
Ⅲ 本事例で取れるその他の対策や予防
1. 法務に関する社内教育
2. 法務部の活動報告と改善策の提案
3. 法務部員のメンタルヘルスケアとストレス管理
4. 転職におけるメンタルヘルス上のリスク
CASE 21 企業内弁護士(弁護士一般)
転職後の環境変化に適応する難しさ
Ⅰ 企業内弁護士B が抱える問題
1. 職務の変化によるストレス
2. コミュニケーションの減少から生じる孤立感
3. ワークライフバランスの崩壊
4. キャリアの自己疑念
Ⅱ 企業内弁護士B が取った対策
1. 働く場所を変えたこと
2. コミュニケーションを増やしたこと
3. リモートワークでの仕事と生活の切り替え
4. 金融法務の勉強を開始したこと
Ⅲ 本事例で取れるその他の対策や予防
1. 職場の変化への対応方法
2. 職業的自己効力感の低下への対応
3. 不調に気づく
執筆者一覧
▼もっと見る
○メンタルヘルスに悩みを抱えた弁護士の相談実例やインタビューに基づき、弁護士のストレス分析や悩み解決へのアプローチについて、弁護士の視点から解説する。
○執筆や監修として精神科専門医、臨床心理士等の各種専門家も参画し、弁護士特有の悩みに対して自覚症状の分析・解説も踏まえながら“セルフケアの具体策”を示す唯一の書。
○弁護士のメンタル不調に関するお悩み事例エピソードについてアドバイスと対処法を解説することで、弁護士向けに特化したメンタルヘルスケアについて学ぶことができる。
○理論編においては、弁護士のストレス分析や、深みにはまりやすい悩み等について解説し、弁護士向けに特化したメンタルヘルスについて学べる内容とする。事例編においては、「メンタル不調に関する弁護士特有のお悩み事例」を取り上げ、事例エピソードの解説・アドバイス・改善策を掲載する。