要件事実の本質・要件事実論とはそもそも何か、なぜ法律家に必要なものなのかに着眼。 法律家としての著者の体験、豊富な執筆経験をもとに、要件事実論そのものの「根拠や理由」を一問一答形式で解説することで、法律家として持ち合わせるべき要件事実論の理解へ無理なく導いていくことを狙う唯一の書。
| ISBN |
978-4-474-09805-3 |
| 発刊年月日 |
2026-01-27
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| 判型 |
A5判/C3332 |
| ページ数 |
192 |
| 巻数/略称 |
/要件事実論への道 |
| 商品コード |
098053
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著者の経験を基に、「要件事実」の考え方・根拠を一問一答形式で解説。読み手の関心度・理解度に応じて必要な問いを探すことができ、「要件事実」の考え方・根拠を正しく理解でる導入本。
はしがき
凡 例
著者紹介
第1 章 要件事実の歴史Q1 わたしが「要件事実」にはじめて触れたのはいつなのか
Q2 要件事実論は、いつ誰によって研究されてきたのか
Q3 戦前の民事裁判における「要件事実」の認識は、どのようなものであったか
Q4 Q3において、要件事実に理解のない訴訟代理人の陳述は、どのようなものか
Q5 現在の民事弁護教科の関係で、要件事実はどのように扱われているのか
Q6 司研・第一巻、司研・第二巻は、当時の司法研修所民事裁判教官室の徹底した合議を重ねたことがうかがわれる著作であるが、その続編が刊行されなかったのはなぜか
Q7 条文ごとの研究と紛争類型別の研究とでは、どのような違いがあるか
Q8 主張・立証責任、請求原因・抗弁・再抗弁などは、民事訴訟法学において論じられてきたという山本敬三説は、一般的なものといえるのか
第2 章 要件事実を理解するための前提知識
Q9 「条文ごとの検討は、かえって請求権規範の原則・例外構造の理解の妨げともなることもある」とは何か
Q10 日本の民法典を例として、パンデクテンシステムとは何か
Q11 訴訟手続と要件事実すなわち「事件の構造と要件事実」は、どうなっているのか
第3 章 要件事実の定義
Q12 「要件事実」とは何か
Q13 売買契約に関する民法555条は、法律効果について「その効力を生ずる」とのみ定め、具体的な「売買代金請求権」「目的物引渡請求権」を明定していないが、売買契約からなぜそのような効果が生ずると考えるのか
Q14 売買契約の要件事実としては、民法555条が時的要素を要求していないことは理解できるが、具体的に事実を主張する場合に、時的因子を一切抜いて「X はY との間で、甲土地を代金1,000万
で売買する契約を締結した」という主張のみで、果たして、審理の対象として売買契約が事実として特定されているといえるのであろうか
Q15 憲法上、「要件事実」という法概念が必要とされる理由は何か
Q16 「法律要件」とは何か
Q17 法律要件(法律要件を構成する各個の事実を法律事実という)には、どのようなものが含まれているのか
Q18 そうすると、やや細かい議論ではあるが、例えば民法709条のように「A、B 、Cがあれば、R である」という法規があるとき、「A+ B +C」の全体が法律要件で、R が法律効果ということになるがそれぞれをともに「要件事実」として置くといずれを議論するのか不分明となるが、どうするのか
Q19 講学上、Q18の事実は、「法律事実」と呼ばれているが、「要件事実」と同じものをいうのか
Q20 「民法は『請求権の体系』ではなく、少なくとも民法に関しては『抗弁の体系』であるという見解がある。この見解は、展開によっては新訴訟物理論に対応する実体法理論の基盤を提供することができると予測される」というのは、なぜか
Q21 訴訟物についての新説と旧説とで、釈明の範囲が具体的にどのように違うこととなるのか
Q22 要件事実論の観点から、主要事実(要件事実)と間接事実との関係は、どのように考えるのか
Q23 要件事実論は要件事実(主要事実)のみを論じており、間接事実を等閑視するものではないか
第4 章 要件事実特有の言葉
Q24 請求原因(Klagegrund)とは、何か
Q25 抗弁(Einrede)とは、何か
Q26 再抗弁(Ruplik)とは、何か
Q27 再々抗弁(Duplik)とは、何か
Q28 「主張自体失当」の言葉は、実務上かなり多義的に使用されているが、何を意味するのか
Q29 「せり上がり」とは何か
Q30 「悪魔の証明」とは何か
Q31 「ない」という消極的事実の証明を求めることは証明不可能で悪魔の証明になるため、民法の条文で、法文上は積極的事実の証明を求めることが多いが、どのような例があるのか。また、法文どおり消極的事実の立証を求める場合もあるのか
Q32 裁判実務上、例えば、最高裁判所判例においては、「特段の事情のない限り」という表現を用いるのは、どういう趣旨か
Q33 動かし難い事実の事実認定の基本は、動かし難い事実を押さえることにあるというが、どういうことか
Q34 主張事実の真偽不明について、「法不適用原則」を採るのか、それとも「証明責任規範」を承認するのか
Q35 裁判所に訴状を提出する法令をみると、原告は、訴状に、「請求の趣旨及び原因」(民訴134条2 項2 号)のほか(この規律自体は、古くから変わらない)、「請求を理由づける事実を具体的に記載し、かつ、立証を要する事由ごとに、当該事実に関連する事実で重要なものもの及び証拠を記載しなければならない」(民訴規則53条1 項)とされている。両既定の関係は、どのようなものか
Q36 立証責任及び主張責任とは何か。それぞれの責任を負担する者は誰か
Q37 立証責任及び主張責任の帰属者は誰か
Q38 立証責任の観念は、弁論主義の第三原則から導くことができるとする立場がある。どのように考えたらよいか
Q39 主張責任と立証責任の一致の原則には例外があるのか
第5 章 行為規範と裁判規範
Q40 「裁判規範」「行為規範」とは何か
Q41 人の権利義務を定めた民法は、国民に向けて定められた「行為規範」か、それとも、裁判官に向けて定められた「裁判規範」か
Q42 裁判規範説と行為規範説によって、契約の拘束力の根拠と権利関係の実在性・仮象性の理解について、どのように見解が異なるか
Q43 民法学と要件事実論とは、互いに価値判断に関して、どのような関係に立つか
第6 章 民法と要件事実論
Q44 民法505条に関し相殺権を行使できる要件は、講学上、どのように説明されるのか
Q45 Q44に関し、要件事実論では、相殺の抗弁を考える際に、上記①~⑥より少ない事実で足りるとしているが、どのように説明するのか
Q46 要件事実の立証責任の分配基準について、どのような見解があるか
Q47 法律要件分類説の立場からは、「立証責任は訴訟の全過程を通じて、当事者の訴訟活動と裁判所の訴訟指揮の指標として機能することが重要である」とされているが、どういうことか
Q48 立証責任は、本来、口頭弁論終結時において事実の存否不明の場合に機能する概念であるが、立証責任は、訴訟の全過程において当事者及び裁判所の導きの星としても機能する(通説)。この立場から、訴状、答弁書などの記載内容が導き出せるであろうか
Q49 典型契約に関する冒頭規定説とは、どのような見解か
Q50 旧訴訟物理論とは何か
Q51 法的三段論法とは、何か
Q52 不利益陳述(厳密には「相手方の援用しない他方当事者の自己に不利益な事実の陳述」)とは、何か
Q53 兼子一『實體法と訴訟法一民事訴訟の基礎理論―』有斐閣(1957年)53頁は、「法規が要件事実を定めるのに、常に一方的に表現するに止め、決して裏表双方から駄目をつめないことも、裁判規範として、必ず一義的に紛争解決の結果を導き出せるようにし、訴訟上の引分け無勝負が絶対に生じないようにする立法者の賢明な配慮としてのみ理解できる」。
Q54 この点を具体的な例で説明してほしい
Q55 一般的に「攻撃防御方法」とは何か
Q56 要件事実論において、『攻撃防御方法乙は、攻撃防御方法甲と「A+ B 」の関係にある』という言葉を聞くことがあるが、どういうことか
Q57 A という要件事実を内容とする攻撃防御方法甲(抗弁)が主張・立証された場合においても、これに対する攻撃防御方法丙(再抗弁)も主張・立証されたときには、これらの攻撃防御方法を前提として、A事実とそれ以外のB 事実とからなる攻撃防御方法乙が主張として意味を有する場合があるのか
Q58 予備的主張とは具体的にどのようなものか
Q59 実務の通説的見地である立証責任の分配は、どのようなものか
Q60 直接証拠と間接証拠との違いは何か
Q61 間接事実の立証と間接反証との違いは何か
Q62 間接反証とは、何か
Q63 証明と疎明の違いは何か
Q64 法律上の事実推定とは何か
Q65 法律上の事実推定規定は、乙要件事実の存否が不明の場合でも(甲事実が存在するときは)法律効果Aを発生させる法規を適用させるのであるから、法不適用原則がこの点破綻を来しているとする見解があるが、どのように考えるべきか
Q66 「事実上の推定」とは、何か
Q67 暫定真実(lnterimswahrheit)とは、何か
Q68 法律上の権利推定規定とは何か
Q69 解釈規定とは、何か
Q70 法定証拠法則とは何か
Q71 事案解明義務とは何か
第7 章 弁論主義と要件事実
Q72 弁論主義の第一原則と要件事実との関係は、どのように考えたらよいのか
第8 章 弁論主義と自白
Q73 自白の意義とは何か
Q74 間接事実の自白の効力は、どのように考えたらよいのか。
Q75 自白の拘束性とは何か
Q76 自白の撤回は、どのような場合に許されるのか
Q77 制限付自白とは何か
Q78 不利益陳述とは何か
Q79 権利自白とは何か
Q80 擬制自白
Q81 顕著な事実とは何か
第9 章 証拠と要件事実
Q82 証拠とは何か
Q83 立証責任(Beweislast)とは何か
Q84 立証責任の分配は、どのように行われるのか
Q85 法不適用原則は何か
Q86 本証と反証とは、何か
Q87 要件事実と直接証拠と間接証拠は、どのような関係にあるのか
Q88 訴訟上の証明とは何か
Q89 「事件の筋(又はすわり)」とは何か
Q90 「特段の事情のない限り」という表現は、判決の中でもよく見かける表現であるが、どのような場合において使用されるのか
Q91 経験則の体系化は、どの程度進んでいるのか
編集後記
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