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判例法理から読み解く裁判実務 取締役の責任
訴訟、交渉の場面において、裁判所で実務上「取締役の責任」がどう判断されているか(「判例法理」の到達点)を理解し、法曹実務家が的確に取締役の責任追及(防御)を行うための必携書!
定価
定価
7,150円 (本体:6,500円)
編著者名
滝澤孝臣 監修 野上誠一 著
ISBN | 978-4-474-07263-3 |
発刊年月日 | 2022-06-24 |
判型 | A5判/C3032 |
ページ数 | 598 |
巻数/略称 | /判例法理取締役価 |
商品コード | 072637 |
商品概要
裁判官が、株式会社の「取締役の責任」に関する学説・判例を分類整理し、裁判実務を幅広く、奥深く、体系立てて解説。裁判実務における「取締役の責任」の判断基準を理解し、的確に取締役の責任追及・防御を行うための必携書!
目次
監修の辞
はしがき
凡 例
第1章 序 説
1 本書の意義(取締役の責任検討の必要性)
2 株式会社とは
3 株式会社の機関設計
4 取締役とは
資格・員数等
選任と就任等
終 任
職務権限
5 代表取締役とは
6 取締役の責任と商業登記制度の関係
7 株式会社と取締役の多様性
株式会社の多様性
ア 取締役会設置会社と取締役会非設置会社
イ 大会社
ウ 公開会社・非公開会社
エ 中小企業・同族会社
オ 会社法や民法の規律による解決の必要性と、会社の実態や個別事情を踏まえた解決の可能性
取締役の多様性
8 取締役の責任追及の必要性
第三者が被った損害の補
会社が被った損害の補等
責任の所在の明確化と取締役の任務懈怠に対する監督是正の必要性
紛争防止機能(任務懈怠行為の抑止機能)
9 取締役の責任追及訴訟の態様
10 取締役の責任追及に当たって検討すべき事項
概 説
誰が責任追及できるか(原告の選択)
誰に対して責任追及するか(被告の選択)
何を、どのような法律構成によって請求するか(訴訟物の選択)
根拠条文の要件を満たす事実関係があるか等
どのような反論が考えられるか
どのような手続によるか(手続選択)
どの裁判所に訴訟を提起するか(土地管轄・事物管轄)
訴訟を提起する前にすべきことはないか
第2章 取締役の第三者に対する責任
第1 429条1項に基づく取締役の責任
1 概 説
債務不履行責任又は不法行為責任追及の可能性
その他の責任追及の可能性
法人格否認法理との関係
429条1項の規律の必要性
429条1項の責任の法的性質
429条1項の責任を検討するに当たり必要な視点
2 429条1項の責任の発生要件(請求原因)の概要
条文の内容
「役員等」=「取締役」
ア 「取締役」の意義
イ 論点①(登記簿上の取締役)
最高裁判決
登記簿上の取締役の職務ないし任務(義務)
取締役への選任決議が無効・不存在であったり、取り消されたりした場合
ウ 論点②(名目的取締役)
エ 論点③(事実上の取締役)
裁判例の状況
検討すべき事項
第三者の主観的事情の考慮可能性
「その職務を行うについて」「悪意又は重大な過失があったとき」
任務懈怠行為による第三者への損害の発生
ア 概 説
イ 「損害」の意義
最高裁判決
直接損害・間接損害の明確性(区別可能性)
どのような場合に直接損害・間接損害の発生を認めることができるか
ウ 「第三者」の意義
概 説
株主は「第三者」に含まれるか
株主による直接損害の賠償請求
株主による間接損害の賠償請求の可否
「第三者」に当たらない者
3 任務懈怠(客観的要件)の具体的内容
取締役の職務
ア 概 説
イ 会社の機関設計の違いによる取締役の職務の違い
ウ 取締役の任務懈怠の具体的態様
取締役の行為に着目した分類
第三者が被る損害に着目した分類
423条1項の責任をめぐる議論との関係
ア 423条1項の「任務」ないし任務懈怠の内容
イ 429条1項における任務懈怠
概 説
個別法令の違反と善管注意義務違反との関係
ウ 423条1項における任務懈怠との違い
任務懈怠として問題となる事項
取締役の第三者に対する違法性の内容を検討することの要否
取締役の任務懈怠行為の時期
個別法令の違反
ア 概 説
イ 「法令」の意義
「法令」の具体例
「法令」の具体的内容
ウ 裁判実務上の留意点
エ 個別法令の違反と法令遵守義務違反との関係
オ 取締役に個別法令の違反が認められるのはどのような場合か
個別法令の違反を問題とすべき事案の見極めの重要性
個別法令の違反行為への関与が認められる事案と、一般の善管注意義務違反や監視義務違反等が問題となる事案との区別
カ 主張立証責任の所在
キ 個別法令の違反が正当化される場合があるか
会社の利益のためにしたとの弁解の可否
経営判断の原則が適用されるか
法令の規定の解釈が分かれていることによって個別法令の違反が否定されることはあるか
事後的な手続の履践や上位機関による追認等
ク 429条1項の責任に関して個別法令の違反が問題とされた裁判例
食品衛生法違反(名古屋高金沢支判平成17・5・18判時1898号130頁〔28101391〕)
商品取引法違反(東京地判平成19・5・23金融商事1268号22頁〔28131279〕)
民事保全法ないし仮処分命令違反(東京地判平成21・7・28判タ1313号200頁〔28153357〕)
特定商取引法違反(大阪高判平成26・2・27判時2243号82頁〔28221053〕)
利息制限法ないし貸金業法違反(大阪地判平成27・5・8裁判所HP〔28232430〕)
破産法・利息制限法違反(東京地判令和2・1・20判タ1483号242頁〔28283279〕)
労働関係法規違反(東京高判平成30・6・27平成29年(ネ)5543号公刊物未登載〔28263421〕)
定款違反、株主総会決議違反
ア 定款違反
イ 株主総会決議違反
一般の善管注意義務・忠実義務違反
ア 概 説
イ 民法644条をめぐる議論
ウ 取締役が負う善管注意義務の内容・程度
取締役の義務に関する一般的議論
会社や取締役ごとに義務の内容や程度が異なるか
会社の経営悪化時における直接侵害行為について取締役の任務懈怠をどこに求めるか
取締役が善管注意義務を負わないですることができる行為はあるか
善管注意義務の具体化
エ 経営判断の原則
概 説
民法の議論との整合性
423条1項の責任をめぐる議論が429条1項の責任に妥当するか
裁判実務における議論の状況
平成20年までの裁判例を踏まえた議論の状況
平成20年以降の最高裁判決・決定
最高裁判決・決定の評価
平成22年の最高裁判決後の裁判例
事実認識(の過程)についての審査のあり方
取締役の判断の過程、内容の著しい不合理性の判断方法
いわゆる信頼の原則
裁判例
経営判断の原則の適用範囲
オ 善管注意義務をめぐる近時の議論
監視・監督義務違反
ア 概 説
イ 取締役会設置会社の取締役による他の取締役に対する監視義務
最高裁判決
監視義務の法的根拠
裁判実務上の留意点
監視義務の内容
どのような場合が監視義務違反となるか
取締役会のメンバーとして認識できる事項(取締役会の上程事項等)についての監視義務
取締役会のメンバーとして当然には認識できない事項(取締役会の非上程事項)についての監視義務
具体的な監視義務を尽くしたか
ウ 取締役会非設置会社の取締役による他の取締役に対する監視義務
会社法施行前の有限会社法の議論
代表取締役が定められていない取締役会非設置会社の取締役が負う監視義務
代表取締役が定められている取締役会非設置会社の取締役が負う監視義務
エ 名目的取締役による他の取締役に対する監視義務
名目的取締役の意義
名目的取締役の監視義務の有無・程度
名目的取締役の監視義務違反ないし任務懈怠
近時の議論・裁判例
裁判実務上の留意点
オ 登記簿上の取締役や事実上の取締役による取締役に対する監視義務
カ 取締役による支配人・使用人等に対する監督義務
概 説
取締役会設置会社における支配人・使用人に対する監督義務
取締役会非設置会社における支配人・使用人に対する監督義務
キ 取締役による支配人・使用人以外の者に対する監督義務
事実上の取締役に対する監督義務
第三者に経営委任した場合の監督義務
子会社の取締役や使用人等に対する監督義務
親会社の取締役や使用人等に対する監督義務
会社の取引先(債務者)や業務委託先(の取締役や使用人等)に対する監督義務
内部統制システム構築・運用義務違反
ア 規律の必要性
イ 会社法施行前の議論
ウ 会社法の規定の内容とその位置付け
規定の内容
規定の位置付け
エ どのような会社において内部統制システム構築義務が問題となるか
オ 内部統制システム構築義務を負うのはどのような取締役か
カ 内部統制システム構築義務の内容
概 説
議論の状況(判決例)
検 討
いったん構築した内部統制システムが不十分となった場合の再構築義務
親子会社における内部統制システム構築義務
裁判例検討に当たっての留意点
キ 内部統制システム構築義務違反
システム構築に当たっての取締役の裁量
経営判断の原則の適用の有無
「通常想定される不正行為を防止し得る程度の管理体制」の具体的内容
不正行為発生の具体的な予見可能性
内部統制システム構築の場面におけるいわゆる信頼の原則の適用の有無
ク 内部統制システム運用義務とその違反
ケ 内部統制システム構築・運用義務と監視・監督義務の関係
各義務の関係
裁判例
4 悪意又は重大な過失(主観的要件)
概 説
悪 意
ア 「悪意」の意義
イ 裁判実務における留意点
ウ 監視義務違反についての悪意
重大な過失
ア 「重大な過失」の意義
イ 判断基準
ウ 423条1項の責任との関係で問題とされる過失との関係
423条1項の責任との共通点
423条1項の責任との相違点
エ 経営判断の原則との関係
オ 監視義務違反についての重過失
検討の視点
名目的取締役に関する最高裁判決
会社法施行前の名目的取締役をめぐる議論
会社法施行後の議論
カ 第三者側の事情の考慮可能性
キ 裁判実務上の留意点
任務懈怠(善管注意義務違反)や相当因果関係の有無との関係
名目的取締役をめぐる議論との関係
主張立証のあり方
ク 裁判例
個別法令の違反・一般の善管注意義務違反に関するもの
名目的取締役の監視義務違反(会社法施行後の裁判例)
一般の取締役の監視義務違反
5 第三者の損害
6 相当因果関係
概 説
会社法429条1項の相当因果関係の判断枠組み
ア 直接侵害の事案と間接侵害の事案とで区別する必要はあるか
イ 通常損害と特別損害との区別の必要性
ウ 事実的因果関係の判断枠組み
裁判実務上の留意点
ア 裁判実務の実情
イ 重大な過失との関係
ウ 第三者側の事情の考慮可能性
エ 複数の役員の責任を追及する場合
監視・監督義務違反と相当因果関係
ア 監視すべき取締役や従業員に任務懈怠等の責任が成立することを要するか
イ 監視義務違反と相当因果関係
最高裁判決
会社法施行前の裁判例
会社法施行後の議論
理論的検討
慰謝料請求の可否
弁護士費用相当額の損害賠償請求の可否
裁判例
ア 手形の振出し等に関する任務懈怠の事案
イ 株価の下落による損害の賠償請求がされた事案
ウ 退職慰労金に関する議案を株主総会や取締役会に付議しなかった事案
エ 会社破綻の原因が争われた事案
オ 監視義務違反に関係する事案
近時の最高裁判決
近時の裁判例
7 取締役の対抗主張(抗弁)
過失相殺
消滅時効
権利濫用・信義則違反
各役員の寄与度等に応じた責任軽減の可否
その他の抗弁
8 429条1項の効果
条文の内容
同一の任務懈怠行為に関して他に責任を負うべき者との関係
ア 債務同士の関係
イ 不真正連帯債務と解することの意味
取締役の会社に対する423条1項に基づく責任との関係
取締役が負う損害賠償債務の遅延損害金の起算日・利率
第2 429条2項に基づく取締役の責任
1 429条2項の規律の内容
条文の内容
429条1項との関係
429条2項の規律の存在意義、同項の責任の法的性質
2 429条2項の責任の発生要件(請求原因)
要件の概要
取締役による計算書類の虚偽記載等(要件①)
第三者への損害の発生(要件③)
取締役の行為と第三者の損害との間の相当因果関係(要件②)
3 取締役の対抗主張(抗弁)
4 429条2項の効果
第3 不法行為等に基づく取締役の責任
1 概 説
2 民法709条に基づく責任
責任の発生要件
取締役による加害行為
ア 問題の所在
イ 裁判例
取引的不法行為の事案
投資被害等の消費者被害の事案
労働関係訴訟
取締役在任中の従業員の引抜きの事案
新株の有利発行及びそれに続く少数株主の締め出しの事案
3 民法719条に基づく責任
4 民法715条2項に基づく代理監督者の責任
5 特別法に基づく責任
第4 第三者が取締役に対して責任追及するための訴訟手続
1 概 説
2 取締役の住所等の特定
3 裁判実務上の留意点
請求の趣旨
訴訟物の明示の仕方
請求の原因
被告の反論の法的位置付け
訴訟告知
訴訟提起後に被告を追加することの可否
裁判上の和解
4 会社について倒産手続が開始された場合の取締役の責任への影響の有無
第3章 取締役の会社に対する責任
第1 423条1項に基づく取締役の責任(本則)
1 概 説
債務不履行責任又は不法行為責任追及の可能性
423条1項の規律の必要性とその責任の法的性質
423条1項の責任を検討するに当たり必要な視点
429条1項の責任をめぐる議論との異同
2 423条1項の責任の発生要件(請求原因)の概要
条文の内容
「取締役」
ア 「取締役」の意義と範囲
イ 使用人兼務取締役の責任の根拠条文
「その任務を怠ったとき」(任務懈怠)
任務懈怠行為による会社への損害の発生
3 「その任務を怠ったとき」(任務懈怠)の法的位置付け
債務不履行に基づく損害賠償責任に関する一般的議論
ア 責任の発生要件(請求原因)
イ 債務不履行に基づく損害賠償責任に関する抗弁
ウ 取締役の債務不履行の内容
エ 不完全履行に基づく損害賠償責任の発生要件
任務懈怠の法的位置付け
ア 議論の状況
イ 検 討
4 「その任務を怠ったとき」(任務懈怠)の具体的内容
会社法施行前の商法の規律との比較
取締役の「任務」
「その任務を怠ったとき」と善管注意義務違反との関係
ア 議論の状況
イ 検 討
取締役の任務懈怠行為の具体的態様
個別法令の違反
ア 概 説
イ 個別法令の違反の有無が問題となる場合
ウ 429条1項の責任との相違点
エ 判決例
さいたま地判平成23・9・2金融商事1376号54頁〔28174295〕
東京高判平成25・1・30判タ1394号281頁〔28210405〕
東京地判平成26・9・25資料版商事法務369号72頁〔28230010〕
名古屋地判平成27・6・30金融商事1474号32頁〔28232525〕
東京地判平成30・3・28平成28年(ワ)24125号公刊物未登載〔29049237〕
東京高判令和元・5・16判時2459号17頁〔28272913〕
定款違反、株主総会決議違反
一般の善管注意義務違反・忠実義務違反
ア 概 説
イ 株主に関する事情によって取締役の任務懈怠責任が否定されることがあるか
裁判例
検 討
監視・監督義務違反
ア 概 説
イ 株主に関する事情によって義務違反(任務懈怠)を否定することの可否
ウ 名目的取締役をめぐる議論
義務違反(任務懈怠)を否定することの可否
他の要件ないし抗弁との関係の検討の必要性
内部統制システム構築・運用義務違反
5 会社の損害
概 説
株主総会決議や取締役会決議を経ずにした行為(取引等)による損害
6 相当因果関係
概 説
423条1項の責任特有の問題
7 取締役の対抗主張(抗弁)
帰責性(取締役の故意・過失)の不存在
ア 概 説
イ 取締役の故意・過失が否定されるのはどのような場合か
ウ 裁判実務上の留意点
エ 違法性(個別法令の違反)の認識・認識可能性の欠如
認識可能性の程度
判決例
分 析
オ 法令遵守の期待可能性の欠如を理由とする免責の可能性
カ 個別法令の違反の回避義務を否定することによる免責の可能性
キ その他の議論
違法性・責任阻却事由の存在
過失相殺の可否
ア 裁判例・学説の状況とその分析
イ 検 討
各役員の寄与度等に応じた責任軽減の可否
損益相殺
ア 要件等
イ 裁判例
取締役の責任の免除
取締役の責任の一部免除・責任額の限定
権利濫用・信義則違反
ア 概 説
イ 具体例
権利行使の不当性に着目したもの(水戸地土浦支判平成29・7・19判タ1450号240頁〔28260260〕)
株主に関する事情等を考慮したもの(東京地判平成30・1・22判タ1461号246頁〔29048756〕)
特定の役員を狙い撃ちにしていることを理由としたもの(東京高判令和元・8・21金融商事1579号18頁〔28274560〕)
損害の内容に着目したもの(東京高判平成29・6・15判時2388号84頁〔28252740〕)
消滅時効
8 423条1項の効果
条文の内容
会社が負う損害賠償債務の遅延損害金の起算日・利率
第2 423条1項に基づく取締役の責任(356条1項に関する責任の特則)
1 概 説
2 利益相反取引の特則
規律の趣旨
利益相反取引に関する規律の内容
ア 株主総会又は取締役会の承認決議
会社法の規定の内容
直接取引の範囲
間接取引の範囲
利益相反取引該当性が否定される場合
事後承認・包括的承認の可否
イ 取締役会への報告義務
ウ 決議を経ずにされた取引の効力
利益相反取引がされた場合の取締役の任務懈怠責任
ア 株主総会等の承認を受けずに利益相反取引がされた場合の責任
イ 株主総会等の承認を受けて利益相反取引がされた場合の責任
ウ 会社の損害
取締役が自己のために直接取引をした場合の一部抗弁の不許
裁判実務上の留意点
3 競業取引の特則
規律の趣旨
競業取引に関する規律の内容
ア 株主総会又は取締役会の承認決議
会社法の規定の内容
「自己又は第三者のために」
「会社の事業の部類に属する」
「取引」
競業取引該当性が否定される場合
事後承認・包括的承認の可否
イ 取締役会への報告義務、決議を経ずにされた競業取引の効力
競業取引がされた場合の取締役の任務懈怠責任
ア 株主総会等の承認を受けずに競業取引がされた場合の責任
会社の損害額の推定
取締役又は第三者の「利益の額」の意義
推定の覆滅
推定規定の限界
イ 株主総会等の承認を受けて競業取引がされた場合の責任
裁判実務上の留意点(競業避止義務の多様性)
取締役在任中の競業取引に隣接する問題
ア 取締役退任後の競業取引による責任
概 説
競業避止に関する合意の有効性
元取締役が信義則に基づき義務を負う場合
イ 取締役や従業員の引抜きによる責任
取締役在任中の引抜きの責任
取締役退任後の引抜きの責任
ウ 会社の機会の奪取
第3 その他の規定に基づく取締役の責任
1 概 説
2 会社法の規定に基づく責任
剰余金の配当等に係る責任
株主権行使に関する利益供与に係る責任
3 民法に基づく責任
第4 会社自身が取締役に対して責任追及するための訴訟手続
1 概 説
2 管 轄
3 会社の代表者
会社法の規律の内容
会社法施行の際の経過措置
裁判実務上の留意点
4 その他の裁判実務上の留意点
訴訟物の明示の仕方
訴訟参加等
裁判上の和解等
5 会社について倒産手続が開始された場合の規律
第5 会社に代わって株主が取締役に対して責任追及するための訴訟手続(株主代表訴訟)
1 概 説
株主代表訴訟の必要性
株主代表訴訟の法的性質(株主代表訴訟を提起する株主の地位)
法定訴訟担当とは
解釈や運用に当たって必要な視点
株主代表訴訟の実情
裁判実務上の留意点
ア 会社法の改正
イ 責任原因の主張立証の必要性
2 株主代表訴訟の対象となる責任の範囲
条文の内容
条文の読み方
「役員等」=「取締役」の意義
ア 概 説
イ 被告の範囲
ウ 取締役ではないが423条1項の責任を負う者を被告とする株主代表訴訟が許されるか
「役員等……の責任」の意義
ア 概 説
イ 責任の発生時期による限定
ウ 責任の内容による限定
議論の状況
取締役の地位に基づく責任
取締役の会社に対する取引債務についての責任
3 訴訟要件
訴訟要件とは
原告適格(提訴資格)
ア 条文上の要件
イ 要件の具体的内容
株主であること
株式継続所有要件(公開会社の場合)
ウ 株主代表訴訟提起後に株式の所有状況に変動があった場合の原告適格の帰趨
株主が死亡したり合併したりした場合
原告が株式を全部第三者に譲渡した場合
原告の意思によらずに原告が株主の地位を喪失する場合
エ 会社の取締役に対する請求権の移転・消滅事由があった場合の訴訟の帰趨等
概 説
会社が取締役に対する請求権を譲渡した場合
会社が形成権を行使するなどした場合
取締役が会社に対して弁済した場合
オ 旧株主による責任追及等の訴え・多重代表訴訟
株主代表訴訟の提起前に提訴請求したこと又は847条5項の要件を満たすこと
ア 民訴法上の位置付け
イ 提訴請求の制度趣旨
ウ 提訴請求権者
エ 提訴請求書の記載事項
規律の概要
被告となるべき者
請求の趣旨
請求を特定するのに必要な事実
提訴請求書の内容と訴状の内容とのずれはどこまで許容されるか
オ 提訴請求の名宛人(相手方)
規律の概要
提訴請求において被告となるべき者を名宛人とすることの可否
名宛人が不存在又は行方不明の場合の処理
裁判実務上の留意点
カ 会社による不提訴理由通知
キ 提訴請求が不要な場合
ク 株主代表訴訟の提起前に(有効な)提訴請求があったとはいえない場合の訴え却下の可否
原 則
株主代表訴訟の提起前に(有効な)提訴請求がされたのと同視される場合
会社が株主代表訴訟に訴訟参加した場合の訴え却下の可否
提訴請求に係る瑕疵の治癒
ケ 訴えが変更された場合の提訴請求の要否
提訴請求から60日以内に会社が訴訟提起しなかったこと
4 取締役による対抗手段
概 説
提訴請求権又は提訴権の濫用ないし不存在
ア 847条1項ただし書・5項ただし書の内容とその位置付け
イ 要件の内容
ウ 要件の証明
エ 会社による主張立証
オ 裁判例
担保提供命令の申立て
ア 規律の概要
イ 基準時
ウ 「悪意」の意義
裁判例
株主である原告の請求に理由がないことに着目する場合(不当 訴訟要件)
原告の不法不当な目的に着目する場合(不法不当目的要件)
両要件の総合考慮の可能性
エ 「相当の担保」の意義・内容
オ 対抗手段としての意義
解釈論(訴権・株主権の濫用)
5 民事訴訟手続に関する規律
概 説
管 轄
訴え提起手数料
複数の株主が原告となる場合の共同訴訟の類型
訴訟告知
法定訴訟担当であることの意味
ア 株主への直接給付の可否
イ 判決の効力
ウ 株主代表訴訟の提起によって会社や他の株主は原告適格(当事者適格)を喪失するか
エ 株主代表訴訟の提起によって会社は取締役に対する請求権の処分権限を喪失し、取締役は弁済することができなくなるか
オ 原告である株主は会社に対して善管注意義務を負うか
カ 被告である取締役による抗弁主張の可否
キ 会社について倒産手続が開始された場合の規律
同一の責任を追及する株主代表訴訟が複数係属した場合の処理
ア 訴え却下の可否(弁論の併合義務の有無)
イ 二重訴訟に当たるかどうかの判断基準
訴訟参加
ア 概 説
イ 共同訴訟参加
規定の存在意義
会社による共同訴訟参加
他の株主による共同訴訟参加
ウ 補助参加
規定の存在意義
補助参加の手続
株主による証拠収集手段
裁判上の和解
ア 規律の概要
イ 会社の代表者
ウ 代表取締役又は監査役の善管注意義務との関係
エ 和解による紛争解決の具体例
判決・和解以外の訴訟終了原因
取締役について倒産手続が開始された場合の責任追及方法
上 訴
再審の訴え
6 訴訟終局後の問題
強制執行・民事保全
原告(株主)の会社に対する費用・弁護士報酬の請求
会社の株主(原告)に対する損害賠償請求
取締役(被告)の株主(原告)に対する損害賠償請求
取締役(被告)の会社に対する費用等の請求
担保提供命令の担保の取消し
第4章 会社の第三者に対する責任
第1 350条に基づく代表者の不法行為についての会社の責任
1 概 説
使用者責任追及の可能性
ア 使用者責任の発生要件
イ 代表者の行為についての使用者責任の成否
350条の規律の必要性
350条の責任の法的性質
350条の責任を検討するに当たっての留意点
2 350条の責任の発生要件(請求原因)
条文の内容
「代表取締役その他の代表者」
ア 「代表取締役」の意義
イ 「その他の代表者」の意義
代表と代理の違い
「その他の代表者」の具体例
論点を検討するに当たっての留意点
論点①(代表取締役が定められている会社の取締役(代表権のない取締役。代表取締役でない業務執行取締役等))
論点②(取締役以外の会社の機関(監査役・取締役会等))
論点③(登記簿上の代表取締役)
論点④(事実上の代表取締役)
ウ 会社に対して責任追及するに当たり代表者(行為者)を特定する必要があるか
代表者が「第三者」に「損害」を加えたこと
ア 「第三者」の意義(株主も含まれるか)
イ 「損害」の範囲
ウ 株主が被った損害を350条に基づき賠償請求できるか
エ 参考裁判例
千葉地判平成8・8・28判時1591号113頁〔28020549〕
大分地判平成20・3・3金融商事1290号53頁〔28140690〕
東京地判平成30・3・22判タ1472号234頁〔29049226〕
代表者の行為が(共同)不法行為や教唆・幇助の成立要件を満たすこと
ア 350条をめぐる解釈
イ (共同)不法行為や教唆・幇助の要件
不法行為の要件
共同不法行為の要件
教唆・幇助の責任の要件
ウ 350条特有の議論(総論)
エ 代表者による加害行為の有無・内容
議論の状況
裁判実務上の留意点
オ 代表者の故意・過失
カ 過失や違法性をめぐる近時の議論
会社法の内部統制システム構築義務との関係
参考になる議論
最高裁判決
不法行為法上の義務の存否
裁判実務上の留意点
キ 350条の責任が認められた近時の裁判例
投資被害等の消費者被害の事案
労働関係訴訟
プライバシー侵害の事案
その他
ク 代表者による不法行為等の時期と350条の責任の成否
ケ 継続的・反復的な不法行為における留意点
故意・過失との関係
行為者変更に伴う主張再構成の必要性
「その職務を行うについて」
ア 「その職務」の意義
イ 「職務を行うについて」の意義
ウ 代表者の行為が会社の事業の範囲に属すること(要件①)
エ 代表者の行為が代表者の職務の範囲に属するような外形が認められること(要件②)
オ 近時の裁判例
カ 代表取締役の権限に関する規律
代表取締役の権限の範囲
裁判例
代表取締役による権限濫用
3 他の制度との関係
429条1項に基づく責任との関係
表見責任との関係
ア 民法における議論
イ 会社法の規律(表見代表取締役)
ウ 表見責任と350条の責任のどちらを追及するのが得策か
エ 会社に対する責任追及の具体的方法
オ 会社に対して表見責任を追及しつつ損害賠償を請求することの可否
カ 会社に対して表見責任を追及しつつ代表者には損害賠償責任を追及することの可否
4 会社の対抗主張(抗弁)
権限逸脱・濫用についての悪意・重過失
ア 概 説
イ 悪意・重過失の意義
ウ 悪意・重過失の基準時
過失相殺
消滅時効
その他の抗弁
会社免責の余地はあるか
5 350条の効果
条文の内容
代表者に対する損害賠償請求の可否
会社の責任と代表者の責任との関係
ア 会社の債務と代表者の債務との関係
イ 求償の可否
ウ 求償の範囲(求償制限の可否)
エ 求償を制限する特約の可否
会社が負う損害賠償債務の遅延損害金の利率・起算日
第2 民法715条1項に基づく代表権のない取締役の不法行為についての会社の責任
第3 民法709条に基づく会社固有の不法行為責任
1 会社自身が固有の不法行為責任を負うか
2 否定説
3 肯定説
4 検 討
裁判実務の状況
会社固有の不法行為責任を認める必要性
ア 代表者や被用者の加害行為との関係
イ 代表者や被用者の義務との関係
何を会社の侵害行為(加害行為)と捉えるか
会社の故意・過失の内容
350条の責任及び使用者責任と会社固有の不法行為責任との関係
第4 第三者が会社に対して責任追及するための訴訟手続
1 概 説
2 裁判実務上の留意点
会社と代表取締役の双方を被告とする訴訟を提起する場合の請求の趣旨
訴訟物の明示の仕方
裁判上の和解に役員を参加させる方法
事項索引
判例索引
監修者・著者紹介
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