国及び自治体職員(特に法務行政に関わりの深い職員)、自治体弁護士、行政法学研究者のために、行政争訟制度(行政不服審査・行政訴訟等行政救済制度の総称)に潜む実務の要点と行政法の理論を、深い洞察力で極めた論文集。
4,950円 (本体:4,500円)
ISBN |
978-4-474-09463-5 |
発刊年月日 |
2024-05-31
|
判型 |
A5判/C3032 |
ページ数 |
408 |
巻数/略称 |
/争訟制度 |
商品コード |
094631
|
本書は、行政事件訴訟法、行政不服審査の改正の意義や改正の内容、新法に係る判例や東京都での行政不服審査制度の具体例を解説し、さらには準司法的行政救済制度にも言及。行政不服審査制度・行政訴訟制度(総称として、行政争訟制度)に関する実務と理論について、著者の生涯をかけた研究成果の集大成。
はしがき
法令・文献等略語
第1編 行政事件訴訟法の改正
第1部 平成16 年改正前
第1章 行政訴訟にとっての違憲審査の意義
第1節 はじめに
1 違憲審査制と行政訴訟
2 本章の構成
第2節 行政訴訟と違憲審査権の行使──各期の特徴
1 昭和20 年代から30 年代後半まで
2 昭和30 年代末から40 年代末まで
3 昭和50 年代から60 年代初頭まで
4 その後の動向
第3節 権利救済手段としての行政訴訟制度
1 訴訟類型等の問題
2 訴訟要件の問題
3 審理手続の問題
第4節 おわりに
1 違憲判断の少なさ
2 訴訟の間口の狭さ
3 積極的な法解釈の必要性
4 今後の違憲審査への期待
第2章 行政裁量論に関する若干の検討
第1節 はじめに
第2節 裁量学説史の検討──2・3の視点の抽出
1 要件裁量説と効果裁量説
2 差異の相対化
3 要件面の裁量とその理解
4 裁量の存否の基準──概観
第3節 裁量の存否・範囲に関する概括的基準
1 裁量の諸要素
2 裁量の存否・広狭の視点
3 専門技術性の視点
第4節 おわりに
第3章 都外形標準課税条例の訴訟上の問題点──予防訴訟等の可能性を中心として
第1節 はじめに
1 東京都外形標準課税条例
2 本章の課題
第2節 予備的な考察
1 はじめに
2 課税処分に対する訴訟──課税前と課税後
3 税効果会計とは何か
4 都外形標準課税条例と税効果会計
第3節 課税処分に先立つ訴訟の適法性
1 条例の処分性(その1)
2 条例の処分性(その2)
3 予防訴訟の可能性
4 当事者訴訟の可能性
第4節 おわりに
第2部 平成16 年改正について
第1章 訴訟類型論
第1節 はじめに
1 本章の課題
2 現実的な改革案
3 改正の方針と説明責任
第2節 行政訴訟と民事訴訟──行政訴訟の意義
1 民事訴訟一元論と民事訴訟・行政訴訟二元論
2 行政訴訟の意義(その1)──「国民のための制度改革」との関係において
3 行政訴訟の意義(その2)──「国民のための制度改革」を目指して
第3節 行政訴訟の類型論──基本的枠組みについて
1 訴訟類型の構想に際して
2 特則の内容(その1)──「国民のための司法制度改革」との関係において
3 特則の内容(その2)──「国民のための司法制度改革」を目指して
4 中間的な結論
第4節 具体的制度設計(その1)──抗告訴訟の取扱い
1 抗告訴訟維持型について
2 抗告訴訟維持型のバリエーション──包括的抗告訴訟
第5節 具体的制度設計(その2)──当事者訴訟・客観訴訟の取扱い
1 包括的行政訴訟の提唱──当事者訴訟の取扱い
2 客観訴訟の発展可能性
第6節 おわりに
1 訴訟選択の負担のない制度
2 行政訴訟制度改革への期待
3 第三者機関の創設
第2章 行政訴訟手続の改善
第1節 はじめに
第2節 アクセスの改善
1 被告適格(行訴法11 条)
2 管轄裁判所(行訴法12 条)
3 出訴期間制限(行訴法14 条)
4 取消訴訟の提起等に関する事項の教示
第3節 審理の充実・促進──釈明処分の特例(行訴法23 条の3)
1 問題の所在
2 措置の概要
第4節 執行停止の要件の緩和(行訴法25 条)
第5節 残された課題
第3章 義務付け訴訟
第1節 はじめに
第2節 改正前の判例・学説
1 行政事件訴訟特例法下の運用
2 行政事件訴訟法下の議論
第3節 立法の経緯
1 検討会設置に至る経緯
2 検討会における議論
第4節 訴訟に関する規定の解説
1 総 説
2 義務付け訴訟の類型
3 直接型義務付け訴訟の規定
4 申請満足型義務付け訴訟(その1)──訴訟要件
5 申請満足型義務付け訴訟(その2)──審理手続・本案判決等
第5節 判決の基準時と判決効
1 判決の基準時
2 義務付け判決の効力
第2編 行政事件訴訟の現在
第1部 平成16 年改正の評価
第1章 行政訴訟をめぐる裁判例の動向と課題
第1節 はじめに
第2節 訴訟要件──取消訴訟等の原告適格・改正の影響
1 行訴法9条2項
2 「リスク保護義務」論について
3 判例の変更可能性
4 条例の位置付け
第3節 訴訟要件──処分性・その他
1 判例の動向
2 解釈手法の特徴
3 概念の外延と排他性
4 公法上の当事者訴訟との関係
第4節 本案審理──実体法上の統制手法
1 はじめに
2 一般法原理の活用
3 裁量の統制手法(その1)──過去の判断枠組み
4 裁量の統制手法(その2)──注目すべき判断
第5節 おわりに──平成16 年改正後の課題
第2章 行政訴訟の原告適格
第1節 原告適格の意義
1 主観訴訟としての抗告訴訟
2 原告適格の場面
第2節 行政事件訴訟法改正前の学説・判例
1 2つの学説
2 裁判例の立場
第3節 行政事件訴訟法の改正──行訴法9条2項
1 平成16 年改正
2 改正後の判断
3 注目すべき事例
第4節 団体訴訟の可能性
1 消費者保護法の動向(169)
2 5年後見直しの作業(170)
補 章 始動する「モノ申す裁判所」 ──過渡期の成果と問題点
第1節 司法が踏み込み始めた
1 踏み込んだ諸判決
2 モデルはアメリカ型
3 規制改革、省庁再編等の共通性
第2節 行政訴訟制度改革とその意義
1 行政事件訴訟法の改正(
2 改正行政事件訴訟法下の判断──動き始めた裁判所
第3節 注目すべき下級審判決
1 東京地裁行政部の判断
2 「国敗れて3部あり」?──行政関係者の反発
第4節 司法への期待
1 判決の理解のために
2 武器の平等のために
第2部 平成16 年改正後の諸課題
第1章 包括的公権力観の終焉? ──判例の展開と改正行訴法の応答
第1節 はじめに
1 大阪空港訴訟最判
2 本章の構成
3 課題の限定
第2節 大阪空港訴訟最判・多数意見の論理
1 2つの理解
2 多数意見の論理
3 「不可分一体」論の問題点
4 判決の射程距離
第3節 厚木基地訴訟最判──「包括的公権力」概念の完成
1 伊藤補足意見の検討
2 厚木基地訴訟最判の独自の問題点
第4節 その後の判例の展開と改正行訴法の対応
1 その後の判例の展開
2 改正行政事件訴訟法の対応
第5節 おわりに
1 航空行政システムの変貌
2 2つの最高裁判決の行方
第2章 部分開示と情報の単位 ──最高裁判所の裁判例の再考
第1節 はじめに
1 大阪府知事交際費公開請求事件第2次上告審判決
2 本章の目的
第2節 府知事交際費判決
1 事実関係の概要
2 裁判所の判断
3 判決の検討
第3節 県商工部食糧費判決
1 事実関係の概要
2 裁判所の判断
3 判決の検討
第4節 本章のまとめ
1 府知事交際費判決
2 県商工部食糧費判決
3 両判決の意義・射程を踏まえて
第3編 行政不服審査法の改正と改正法の運用
第1部 行政不服審査法の改正とその意義
第1 章 行政救済制度の審理主宰者に関する比較法的考察の結果──行政救済制度における審理主宰者に関する調査研究報告書より
第1節 はじめに
1 調査研究の経緯
2 調査研究の方法
3 報告書の構成
第2節 国税・社会保障・開発行政における審理主宰者
1 国税関係
2 社会保障関係
3 開発関係
第3節 審理主宰者にみられるその他の特色
1 アメリカ
2 イギリス
3 ドイツ
4 わが国との比較
第4節 調査研究のまとめ
1 前 提
2 審理主宰者と簡易迅速性・第三者性
3 審理主宰者と制度の多様性等
第2章 検討会最終報告の概要 ──検討会における議論を振り返って
第1節 はじめに
1 「検討会」の最終報告
2 本章の目的
第2節 最終報告に至る過程
1 事後救済制度調査研究委員会等
2 行政不服審査制度研究会
3 研究報告書の概要
4 検討会の設置
第3節 中間とりまとめの概要──研究報告書との異同
1 全体の特徴
2 処分に対する不服申立て
3 関係法令・適用除外等の扱い
4 処分以外のものに対する不服の申出
第4節 最終報告の概要
1 最終報告の特徴
2 行政不服審査法の改正部分
3 行政手続法の改正部分
4 その他(第11 章)
第5節 おわりに──研究会及び検討会での作業に関与して
1 改正の基本的な意義
2 大胆な改革の方向性
3 不服申立人適格等
4 爾後の課題
第3章 行政不服審査法改正の意義 ──審理員と第三者機関
第1節 はじめに
1 行政不服審査法の施行
2 国・地方の行政実務への影響
3 叙述のポイント
第2節 審理員
1 審理員に係る規定
2 審理員に求められる資質・能力等
3 審理員の任命状況等
第3節 行政不服審査会等
1 行政不服審査会等に係る規定
2 多様な設置形態
3 国・都道府県・市町村の実例
第4節 おわりに
第2部 改正行政不服審査法の運用
第1 章 地方公共団体における行政不服審査法の運用──東京都の経験を中心にして
第1節 はじめに
第2節 地方公共団体における運用──概況
1 審査庁の組織体制
2 審理員の任命状況
3 行政不服審査会の設置状況
第3節 東京都における体制と運用状況
1 組織体制
2 事件処理の状況(平成28 年4月11 日~同年11 月18 日)
3 行政不服審査会の運営体制
4 若干の検討
第4節 東京都における運用の留意点と課題
1 審理員に関して──国における運用・総務省等見解を踏まえて
2 行政不服審査会に関して
3 運用上の留意点
第5節 全国の事例の検討
1 裁決・答申データベースに見る認容事案
2 全国の自治体における運用上の課題(総務省行政管理局行政手続室のヒアリング結果)
第6節 おわりに
第2章 東京都行政不服審査会の現況 ──審査会委員の立場から
第1節 はじめに
第2節 行政不服審査法下の都の体制
1 都の組織等
2 平成30 年度の実績
第3節 都審査会の答申例
1 請求を認容した答申
2 付言等を記載した事例
第4節 おわりに
第4編 準司法手続・特例的行政手続
第1章 準司法手続等をめぐる状況の検討
第1節 準司法手続等をめぐる現状
1 21 世紀初頭の制度改革
2 見直しの背景
3 本章の構成
第2節 準司法手続の概念──考察の対象
1 狭義の「行政審判」手続
2 他の特例的制度
3 分析の対象範囲
4 準司法手続等の分類
第3節 各制度における手続保障のレベル──改正行政不服審査法の見地から
1 検討の視点
2 当事者間紛争処理型
3 違反行為監視・是正型
4 不服審査型
第4節 一般原則の確立と司法手続との関係
1 一般原則の確立
2 司法手続との関係
第5節 組織・手続の在り方を含めた総括的検討
1 概 説
2 当事者間紛争処理型
3 違反行為監視・是正型
4 不服審査型
5 公害健康被害補償不服審査会の手続
第6節 おわりに
事項索引
初出一覧
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