社労士との適切な連携により、弁護士として労働問題の法的紛争化を防ぐ!
4,070円 (本体:3,700円)

山下眞弘、半田望 編著、大浦綾子、野田雄二朗、佐藤有美、川田由貴、井寄奈美、濱田京子 著
ISBN |
978-4-474-09253-2 |
発刊年月日 |
2024-11-27
|
判型 |
A5判/C2032 |
ページ数 |
352 |
巻数/略称 |
/弁労働事件予防 |
商品コード |
092536
|
社労士との適切な連携により、弁護士として労働問題の紛争化を防ぐため、企業に対する適切なアドバイスにつなげられる唯一の書。
序章 弁護士と社労士の連携による紛争予防
具体例
検討事項
基本情報
1.弁護士と社労士の業務範囲
(1)弁護士の業務範囲
(2)社労士の業務範囲
(3)弁護士業務と社労士業務の対比
(4)業務分野・専門性の違い
2.弁護士と社労士が連携する意義
(1)弁護士の視点から
(2)社労士の視点から
(3)当事者の視点から
3.具体的な連携の場面
(1)就業規則や雇用契約
(2)給与計算等の労務管理
(3)休職・退職
(4)労災対応
4.小括
第 1 章 フリーランス従事者との適正な関係構築
具体例
検討事項
当事者の主張
基本情報
1.フリーランスをめぐる最近の動き
2.フリーランス新法の概要
3.フリーランスの報酬に関するトラブル(具体例①ア)
COLUMN フリーランスの労働者性
4.契約解除、発注停止に関する紛争(具体例①イ)
5.成果物の帰属に関する紛争(具体例①ウ)
6.フリーランスとの団体交渉(具体例②)
7.労災事案への対応(具体例③)
8.紛争予防のポイント
(1)前提となる契約関係の割り振り
(2)フリーランス新法対応
第 2 章 外国人等一定の配慮を要する従業員への対応
具体例
検討事項
当事者の主張
基本情報
1.外国人雇用に関する指針等
2.採用時の明示事項(具体例①)
3.賃金格差に関する事項(具体例②、③)
COLUMN 外国人労働者特有の税務・社会保険の手続
4.労災教育に関連する事項(具体例④)
5.宗教上の配慮に関する事項(具体例⑤ア)
6.LGBTqに対する配慮(具体例⑤イ)
COLUMN 経産省事件最高裁判決(最判令和5年7月11日労判1297号68頁〔28311980〕)
第 3 章 育児に携わる労働者の法的保護と処遇決定
具体例
検討事項
基本情報
1.育児に携わる労働者に対する法的保護
(1)育児・介護休業法による育児休業制度等
(2)雇用保険制度・社会保険制度による法的支援
2.最高裁による「不利益取扱い禁止」の違法性判断
(1)事案の概要
(2)最高裁の判示事項
3.最高裁判決(補足意見)を受けて発出された行政通達とその影
響
(1)育児・介護休業法10条他違反となる不利益取扱いに対する行政解釈
(2)最高裁判決補足意見と行政解釈の差異
4.育児に携わる労働者の処遇決定に対する違法性判断と企業の対応
(1)裁判例の検討
(2)育児に携わる労働者の処遇決定に関する企業の対応
第 4 章 待遇格差解消のための賃金制度変更
具体例
検討事項
当事者の主張
基本情報
1.均衡待遇規制について
(1)パート有期法8条の要件
(2)パート有期法8条違反の効果
(3)「同一労働同一賃金ガイドライン」について
(4)裁判例について
(5)パート有期法14条2 項に基づく説明義務
2.賃金の不利益変更について
(1)社会福祉法人B事件の概要
(2)賃金にかかる労働条件の不利益変更の有効性についての判断枠組み
(3) パート有期法8 条や14条への対応を契機として行った賃金の不利益変更の合理性
3.各種手当見直しの実務的手法
第 5 章 労働時間の管理と把握―残業代に関する紛争対応を中心に
具体例
検討事項
基本情報
1.労働時間規制と働き方改革関連法の概要
2.労働時間規制の内容
(1)労働時間の上限規制
(2)労働時間と割増賃金
(3)割増賃金・勤怠管理に関する主な注意点
3.労働時間に関する論点
(1)労働時間該当性
(2)残業命令の有無
(3)労働時間管理方法の例外
COLUMN 1 か月単位変形労働時間制―適正な運用が必須
4.訴訟における労働時間の主張・立証方法
(1)主張立証責任の所在
(2)きょうとソフトの活用
(3)労働時間の立証方法
第 6 章 適切な労働時間管理と労働時間の算定方法―短時間労働者への適用方法
具体例
検討事項
1.労働時間管理の原則と例外
2.正しい時間外労働の算定方法
3.短時間労働者への対応方法
基本情報
1.労働時間管理方法の原則
2.労働時間管理方法の例外
(1)変形労働時間制とは
(2)フレックスタイム制とは
(3)裁量労働制とは
3.勤務形態に応じた適切な労働時間管理
(1)変形労働時間制の導入により実現可能なこと
(2)変形労働時間制の導入要件
(3)変形労働時間制運用における注意点
(4)フレックスタイム制の導入により実現可能なこと
(5)フレックスタイム制の導入要件
(6)フレックスタイム制運用における注意点
4.変形労働時間制又はフレックスタイム制の導入により時間外労働の削減になるのか
5.労基法における用語と社内用語で意味が異なる「時間外労働」
と「休日労働」
6.テレワークの場合にみなし労働時間制の導入は可能か
7.短時間勤務の正社員の労働時間管理、賃金決定の留意点
(1)フルタイムから短時間勤務とする場合の労働時間管理
(2) 1 日の所定労働時間を短くする場合
(3)所定労働日数を少なくする場合
(4)月給制から時給制への変更
(5)定額の時間外労働手当を支給している場合
第 7 章 定年後の労働条件切下げ
具体例
検討事項
当事者の主張
基本情報
1.定年制が存在するのはなぜか
(1)定年制の意味
(2)年功賃金と定年制
2.高年齢者雇用安定法
(1)改正の変遷
(2)高年齢者雇用安定法の改正
COLUMN 高齢者の能力活用に向けた企業の取組み
3.有期雇用と無期雇用―働き方改革関連法
(1)均衡・均等待遇の規制
(2)パート有期法9 条
(3)パート有期法9 条の適用問題
(4)パート有期法9 条と会社側の対応
COLUMN 労契法旧20条の削除とパート有期法への統合
COLUMN 労契法旧20条に関する最高裁判決とパート有期法への解釈適用
COLUMN 定年前の6 割未満でも不合理とはいえないとされた事例
第 8 章 人事異動命令に関する近時の留意点
具体例
検討事項
当事者の主張
基本情報
1.人事異動に関する命令(配転命令・担務変更など)とは
(1)配転命令とは
(2)担務変更とは
(3)配転命令、担務変更命令の限界
2.私生活と仕事の両立の観点による調整
(1)育児介護と仕事の両立の観点
(2)治療と仕事の両立の観点
3.職場限定、職種限定の合意について
(1)合意の効果とその成否
(2)裁判例の状況
(3)実務上の留意点
4.配転命令を発出する際の留意点、配慮すべき要素
(1)労使間の予測可能性向上
(2)配転命令拒否に対する対応―懲戒解雇を検討する前に
5.労働者の経済的不利益を伴わない配転命令や業務変更について(事例)
(1)近時の裁判例
(2)育児休業復帰後の配置(裁判例)
(3)「キャリア形成」への言及(裁判例)
(4)労働者の「キャリア形成」への配慮は必要か
第 9 章 従業員の傷病・治療と休職制度の運用
具体例
検討事項
当事者の主張
基本情報
1.(私傷病)休職制度とは
(1)意義
(2)制度設計が重要
2.休職命令を発出する要件
(1)休職要件の定め方
(2)問題事例:出勤と欠勤を繰り返す従業員への対応
(3)私傷病再発時の休職期間通算の必要性
3.休職命令発令時から休職期間中の取扱い
4.私傷病休職からの復職可否判断
(1)復職判断時に行うべき情報収集
(2)留意点
第 10 章 休職期間満了時における労使紛争の防止
具体例
検討事項
基本情報
1.休職制度に関する説明内容と規定例
(1)医師の診断書の提出命令
(2)休職発令のタイミングの説明
(3)休職期間及び復職に関する説明
2.休職期間中の処遇に関する説明と案内文例
(1)休職期間に対する賃金の支払の有無
(2)休職中の労働者負担の社会保険料・税負担の処理
(3)社会保険制度からの傷病手当金請求手続
COLUMN 労働者とのやりとりの記録と健康情報の取扱い
3.休職期間満了による退職扱いの相当性判断
(1)判断根拠としての医学的見地の重要性
(2)労働者の復職に向けての配慮義務
第 11 章 懲戒処分の制度設計と発令時の留意点
具体例
検討事項
当事者の主張
基本情報
1.懲戒処分とは
(1)意義
(2)根拠
2.懲戒権の限界
(1)懲戒権濫用法理
(2)懲戒処分の根拠規定としての就業規則の規定と適用
(3)罪刑法定主義類似の原則
3.制度設計の工夫
(1)各懲戒事由の定め方
(2)懲戒処分の種別と懲戒事由の関係
4.懲戒処分発令時の留意点
(1)事実調査段階
(2)手続段階
5.近時の問題点
(1)非違行為を指摘するとメンタルヘルス不調を訴える労働者
(2)注意指導や事実調査について繰り返しハラスメントを訴える従業員
第 12 章 能力不足の従業員への対応と留意点
具体例
検討事項
当事者の主張
基本情報
1.試用期間中の従業員に対する解雇・本採用拒否
2.降格
(1)役職・職位の降格と職能資格・役割等級等の降格の区別
(2)役職・職位の降格
(3)職能資格・役割等級等の降格
3.退職勧奨
4.普通解雇
第 13 章 従業員の非行による解雇と退職金の扱い
具体例
検討事項
当事者の主張
基本情報
1.使用者は非行による解雇は容易でないとまず意識すべき
2.事実認定・調査上の問題点
3.業務上の非行か私生活上の非行かという区別の意識
4.業務上の非行と懲戒解雇
5.私生活上の非行と懲戒処分
6.企業の名誉・信用毀損を重視する傾向とその問題点
7.公務員の懲戒基準より
8.私生活上の非行に関する懲戒処分の裁判例と実際上の考慮要素
9.退職金支給の要否とその程度(具体例④について)
10.各ケースの検討
第 14 章 労働条件・変更に関する労働者の同意・承諾
具体例
検討事項
当事者の主張
基本情報
1.労働者の同意や承諾が問題となる局面
(1)山梨県民信用組合事件判決の判旨
(2)労働条件の不利益変更(賃金以外)
(3)業務内容の変更
(4)その他
2.労働者の同意を限定的に解釈する根拠
(1)実質的根拠
(2)論理的根拠
3.労働者の同意の有効性の考慮要素と認定
(1)最高裁の判断枠組み
(2)山梨県民信用組合事件判決の射程
(3)労働者の同意取得における実務上の留意点
4.(付言)労使間の合意、コミュニケーションによる紛争の予防方策
第 15 章 有期雇用契約の労務管理
具体例
検討事項
1.有期雇用契約と試用期間
2.有期雇用契約における労務管理の基本
3.無期転換権に関する事項
基本情報
1.試用期間とは
2.有期雇用契約ではなく試用期間だと判断されるケース
3.有期雇用契約における労務管理の基本事項
4.有期雇用契約締結時における留意事項
5.契約更新の問題
6.試用期間の活用方法
7.無期転換権が発生する具体的なタイミング
8.有期雇用契約において明示しなければならない事項
9.無期転換した労働者の労働条件と就業規則
10.定年再雇用者に対して5 年を超えて継続雇用をする場合の課題
11 .有期雇用契約の更新上限の設定方法
第 16 章 トラブル防止のための有期雇用契約の運用
具体例
検討事項
当事者の主張
1.労契法19条1 号、2 号該当性をめぐる主張・反論
2.労契法19条の合理性・相当性をめぐる主張・反論
(1)問題行動があるとの主張に基づく雇止めをめぐる紛争について
(2)リストラ局面での労働者の雇止めをめぐる紛争について
3.労契法19条各号該当性と、合理性・相当性の相関関係について
基本情報
1.労契法19条1 号、2 号該当性について
(1)労契法19条1 号該当性について
(2)労契法19条2 号該当性について
(3)該当性判断は総合考慮
2.雇止め法理の適用により、雇止めが無効となる場合について
(1)問題行動がある労働者の雇止め
(2)リストラ局面での労働者の雇止め
3.紛争解決の方法
4.雇止めトラブルを防止するための有期労働契約の運用について
5.更新上限の合意の効果について
(1)初回の有期労働契約締結時に更新上限の合意がなされている場合
(2) 2 回目以降の更新のタイミングで更新上限の合意がなされている場合
(3)更新上限を設けることによる採用への影響
6.限定正社員制度について
(1)正社員に付する「限定」の内容を明確にすること
(2)パート有期法上の均等待遇・均衡待遇規制の考慮
7.社内で運用を徹底することが重要
第 17 章 ハラスメントの申立てに対する適切な対応
具体例
検討事項
当事者の主張
基本情報
1.職場におけるハラスメント
(1)法規制の概要
(2)セクシュアルハラスメント
(3)パワーハラスメント
2.ハラスメント調査に関する留意事項
(1)調査遂行過程での留意事項
(2)事実認定に関する留意事項
3.懲戒処分
4.人事異動
5.再発防止策の重要性
COLUMN 弁護士による相談窓口担当者研修の実施を
第 18 章 労災と企業責任
具体例
検討事項
基本情報
1.労働災害
(1)労働災害の発生状況
(2)長時間労働に起因する労災
(3)ハラスメントと労災
(4)結果と業務との関連性(業務起因性)
2.労災事故における企業責任の内容
(1)民事責任
COLUMN テレワークと安全配慮義務
(2)刑事責任
3.労災事件への弁護士の関与
(1)被災労働者側の代理人として
(2)使用者側の代理人として
第 19 章 労災保険制度と企業の災害防止措置―精神障害事案における検討
具体例
検討事項
基本情報
1.労災保険制度の概要
(1)制度の内容
(2)適用単位
(3)保険料負担
(4)労災保険制度と他の社会保険制度との給付の差異
(5) 労災保険給付と使用者の災害補償責任及び災害防止義務
2.「業務起因性」判断をめぐる労使の利害関係の対立
(1)「業務起因性」の判断基準
(2)「業務上外」決定をめぐる労使間の利害関係の対立
(3)「 業務上外」決定に対する使用者の関与の限界と使用者に対する救済制度の不備
3.労災保険給付の請求手順―精神障害の場合
(1)精神障害に関する労災認定基準と業務上外決定
(2)労災保険給付の請求手順
4.「業務による心理的負荷評価表」を用いた職場環境整備
第 20 章 会社分割・事業譲渡と労働契約
具体例
検討事項
当事者の主張
基本情報
1.会社分割と労働契約の承継―日本IBM事件最高裁判決
(1) 5 条協議と7 条措置
(2)日本IBM事件は会社分割なのか
(3)日本IBM事件の判旨
(4)日本IBM事件の問題点
2.事業譲渡と労働契約の承継
(1)合併・会社分割との対比
(2)解決策の一案
(3)移転先の採算性と労働者保護
3.会社法と労働法の交錯
(1)会社法における労働者の位置付け
(2)労働法学からの批判
(3)会社分割における労働者保護
(4)事業譲渡と労働契約承継法類推適用の当否
(5)倒産時の事業譲渡と承継される労働者
4.労働契約承継法に係る規則・指針改正の影響
(1)労働契約承継法に係る規則・指針
(2)施行規則・指針改正後の実務対応
COLUMN 労働契約承継法の現場
第 21 章 労働審判手続の活用と対応策
具体例
検討事項
基本情報
1.労働審判制度の概要
2.労働審判の審理
(1)対象事件
(2)審理の進行と実情
(3)証明の程度
(4)調停及び審判
(5)通常訴訟への移行
3.労働者側の対応
(1)どのような場合に労働審判を利用するか
(2)申立てまでの留意点
(3)期日進行のポイント
COLUMN 労働者側代理人を経験して
4.使用者側の対応
(1)労働審判の申立てを受けた場合の対応
(2)期日進行における留意点
第 22 章 労働委員会の役割―不当労働行為を中心に
具体例
検討事項
基本情報
1.労働委員会
2.労働争議の調整
(1)調整事項
(2)調整方法
3.不当労働行為
(1)労組法7 条
(2)不当労働行為の審査手続
COLUMN 労委による誠実交渉命令と裁量権の範囲
4.元公益委員からの提言
(1)どの段階で心証が形成されるか
(2)書面提出の遅延は致命的である
(3)和解による解決が合理的である
(4)労働紛争を未然に防ぐための具体策
(5)労働委員会による行政救済制度の見直し
5.労働者側代理人からのコメント
(1)労働者側の立場での労働委員会の活用
(2)不当労働行為の類型
(3)不当労働行為に対する労働者側での対応の注意点
6.使用者側代理人からのコメント
(1)使用者側における集団的労使紛争とは
(2)不当労働行為救済手続と私法上の司法救済の相違
(3)複数の交渉や手続が並行する場合
(4)和解による解決
事項索引
▼もっと見る
○弁護士と社労士がそれぞれの役割や特長を理解し、連携することにより、労働問題の法的紛争化を防ぐ。
○序章として「弁護士と社労士の連携による紛争予防」を掲載し、弁護士と社労士の業務範囲や具体的な連携場面を紹介。
○各章の冒頭に、現在の企業が抱える具体的な労働紛争や紛争の芽となる事情を【具体例】として掲載し、紛争を未然に防ぐために弁護士や社労士として検討すべき事項やその基本情報を解説。