労災保険給付請求の審理の基本構造や実体法的な法律問題を整理した決定版。法令・判例・学説などの詳細な調査と分析を通じて、実体法的な法律問題に迫りつつ、事案ごとに法令・判例のあてはめを可能にする唯一の書
5,720円 (本体:5,200円)
ISBN |
978-4-474-02201-0 |
発刊年月日 |
2024-12-20
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判型 |
A5判/C2032 |
ページ数 |
432 |
巻数/略称 |
/労災保険請求 |
商品コード |
022012
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労災保険給付請求の審理の基本構造や手続と、実体法上の法律問題について、法令・判例・学説等の調査と分析を網羅的に行い、それを通じて解決の指針を提示。第1編は労災保険給付請求の審理における手続的な問題を通観し、第2編は審理において争点となる種々の場面における実体法上の法律問題について、重要な判決や学説の調査及び分析の解説を行う。
はしがき
凡例
序 論
1 本書の目的
2 本書の構成
第1 編 労災保険請求の基本構造
第1 労災保険制度
1 労災保険の目的及び所管官庁
2 保険関係の成立
3 労災保険法と労基法
4 故意又は重過失によって発生した労災事故
5 業務災害と通勤災害
6 特別加入制度
第2 保険給付の内容
1 療養補償給付(労災保険法13条)
2 休業補償給付(労災保険法14条)
3 障害補償給付(労災保険法15条)
4 遺族補償給付(労災保険法16条。12号請求)
5 葬祭料(労災保険法17条)
6 傷病補償給付
7 介護補償給付
8 二次健康診断等給付
9 社会復帰促進等事業(労災保険法29条)
第3 給付基礎日額
1 給付基礎日額の意義
2 平均賃金に相当する額
3 給付基礎日額の最低保障
4 休業給付基礎日額の年齢階層別限度額
第4 通勤災害
1 はじめに
2 通勤災害に関する法令
3 業務災害と通勤災害の相違
4 通勤災害の要件(その1 ・通勤遂行性)
5 通勤災害の要件(その2 ・通勤起因性)
6 具体的適用例
第5 心理的負荷の評価の基準となる労働者
1 精神障害の労災認定基準
2 評価基準となる労働者についての問題の所在
3 心理的負荷の強度の評価基準となる労働者に関する諸見解
第6 第三者行為災害・事業主責任災害と労災保険給付との支給調整
1 第三者行為災害についての支給調整
2 事業主責任災害と政府側の支給調整
3 事業主責任災害と事業主側の支給調整
第7 不服申立制度
1 労基署長が行う原処分
2 労働者災害補償保険審査官への不服申立て
3 労働保険審査会への不服申立て
4 地方裁判所への訴え提起
第8 審理事件数の統計
1 労働基準監督署長の原処分における労災保険給付請求の認容率
2 労働保険審査官の審査請求決定における原処分の取消率
3 労働保険審査会の再審査請求裁決における審査官棄却決定の取消率
4 地方裁判所の取消訴訟の判決(全国)における原処分の取消率
第9 特定事業主の労災支給処分に対する原告適格
1 問題の所在
2 不服申立てに関する規定
3 行訴法9 条1 項の「法律上の利益を有する者」の解釈(原告適格。法律上保護された利益説)
4 労災支給処分に対する原告適格を否定する裁判例
5 労災支給処分に対する原告適格を肯定する裁判例
6 不服申立適格を肯定する上記5 の3 判決の問題点について
7 特定事業主の労災支給処分に対する原告適格の検討
第10 保険料認定決定処分の取消訴訟と違法性の承継
1 違法性の承継の定義と問題状況
2 違法性の承継を否定する伝統的な行政法の学説等
3 公定力を法効果に限定する現在の行政法の学説
4 違法性の承継を肯定するための前提要件
5 違法性の承継の肯定裁判例
6 違法性の承継の否定裁判例
7 違法性の承継に関する学説
8 検 討
9 労災支給処分と保険料認定処分
10 メリット制による労働保険料の具体的な計算の参考例
11 参考文献
第11 再審査請求事件の裁決書
1 裁決書の作成
2 裁決書の構成
3 精神障害の裁決書例
4 脳・心臓疾患の裁決書例
第2 編 労災保険請求の実体理論
第1 労災請求と時効
1 民法の損害賠償請求権の時効
2 労災保険給付請求権の時効
3 給付の種類に応じた時効
4 時効による請求権の消滅
第2 示談・訴訟上の和解と労災請求権
1 示談・訴訟上の和解の注意点(示談・和解後の労災請求の許否)
2 示談と労災保険給付をめぐる判例
3 労災給付請求権を留保する場合の示談・訴訟上の和解の条項例(除外条項例)
第3 取締役の労働者性
1 労働者性
2 判断基準
3 労働者性に関する最高裁判例
4 取締役の労働者性
5 代表取締役の労働者性
第4 労働時間該当性
1 最高裁判例による労基法上の労働時間の定義
2 最高裁判例のまとめ
第5 労災認定基準における時間外労働時間数の意義と重要性
1 労災認定基準
2 労災認定基準における時間外労働時間数の意義
3 労災認定基準上の労働時間(業務起因性の判断基準)
4 労災保険請求における時間外労働時間数の立証
5 時間外労働時間数の立証資料
第6 固定残業代の有効性と公序良俗違反性
1 固定残業代の意義と問題点
2 固定残業代の定めの可否
3 固定残業代の有効性(明確区分性の要件)
4 固定残業代の有効性に関する最高裁判例
5 固定残業代の公序良俗違反性(時間外労働の上限規制)
6 固定残業代の公序良俗違反性に関する裁判例
第7 業務終了後の懇親会での飲酒後の死亡と労災保険給付請求権
1 問題の所在
2 判断基準
3 具体的判断要素
4 肯定裁判例等
5 否定裁判例等
第8 管理監督者
1 定義と判断要素
2 行政解釈の定義
3 裁判例による定義
4 適用除外の趣旨
第9 割増賃金(割増率、賃金単価)
1 割増賃金の意義
2 割増賃金率
3 割増賃金の算定基礎
事項索引
判例索引
行政通達索引
▼もっと見る
○労災保険審査会で多くの事案を担当した著者が、裁判実務の視点から解決への指針を提示
○労災保険給付請求の実務に直結した視点で審理の基本構造や手続を詳述
○労働者災害補償保険法等をはじめとする実体法上の主要な学説や、最高裁判例等の重要な裁判例・労災決定等を、体系的かつ網羅的に分析・整理
○解釈が分かれている高度な論点に対する理解が深められる